・形式
小説、長篇、悪、意識、洗脳
・あらすじ
このページをめくれば、
あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。
一行目に不気味な文章が書かれた、ある人物の手記。
それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。
『掏摸 スリ』『教団X』を越える衝撃。
中村文則が放つ、新たな最高傑作!
・初出
文學界、2016年6月号
・刊行情報
私の消滅(文藝春秋)
2016年6月18日
・受賞歴
第26回Bunkamuraドゥマゴ文学賞
亀山郁夫「『私』をめぐる限りない謎とその予言的ヴィジョンの提示」
第26回Bunkamuraドゥマゴ文学賞が開催されました | Bunkamuraドゥマゴ文学賞 | Bunkamura
・読了日
2017年8月17日
・読了媒体
文學界、2016年6月号
・感想メモ
「」付きの家。
ダッシュはめずらしく感じる。
読み終わってこれは良い小説だろう、傑作だろうと思ったものの、その展開や仕掛けが過去作でも見られまたこういう話かと感じた。
でも、宮崎勤などの描写、外部の描写が入っていること、精神について専門家である人物を中心人物に据えたことなどは間違いなく前進。だって専門家だと発言や行動に甘えが許されなくなるから。
作者が焦りを感じて一人称を「私」から「僕」に変えたように、今後そういう変化は訪れるのか?
「脳と精神の物語を、直接脳に流し込まれた気分。」僕も以前中村文則の小説を読んでそう思った。銃とか遮光を読んでいた時だと思う。それを僕は本作では感じなかったが、それは僕が中村文則の小説に慣れてしまっただけなのか、もう一度考えてみる必要がある。
以前の中村文則の小説は罪の前で罰が与えられず、登場人物はあがいていた。今作ではしっかりと罰が与えられる結果となったが、これは一つの理想形なのだろうか?(2017.08.17)
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