空が分裂する /最果タヒ

・形式
詩集

・あらすじ
殺人も、恋も、すべて空と呼べばいい。今や誰だって言葉を発信できるし、どんな人だって言葉を受信できる。そんな現代に「特別な私」はどこにいる? かわいい。死。切ない。愛。混沌から生まれた言語は、やがて心に突き刺さり、はじける感性が世界を塗り替える。昨日とは違う私を、明日からの新しい僕を、若き詩人が切り開く。萩尾望都ら21名の漫画家・イラストレーターと中原中也賞詩人が奏でる、至福のイラスト詩集。

・収録話数
(第一部)

器械 小林系
きみのだいじなコート 市川春子
14才の化学進化説 萩尾望都
放火犯 山本直樹
冬の交差点 古屋兎丸
永遠 ワカマツカオリ
北の沼地 冬目景
へらない 宮尾和孝
たくさんの殺せ 鬼頭莫宏
月と月 皆川亮二
200個の地球と部屋と静かで 田辺ひとみ
森 伊藤真実
夜の死 KYOTARO
12歳 萩尾望都
やあ! 鈴木央
16歳 大槻香奈
みじめな人たちのこころ 片山若子
医学 板橋しゅうほう
終末期 志村貴子
誕生日 平沢下戸
おめでとうさようなら 西島大介

(第二部)

花火、逝く

6個目の心臓
 三次元、二次元、そうしてポッケ
 キッチンブレイク
 デリカシー
 ここにいる子
 アンチヒューマン

きりとられた祝福
 南へ
 うたうたっていて逮捕される人
 夜は月
 移住者

夜空の体温、ぼくの気温
 ミッドナイト夜
 ロンリネスロンドンルララ
 天国と、とてつもない暇
 月の心臓
 リトルリトル
 死後

時間一周旅行
 冬の星の木の実
 夏襲来
 滅び前
 50億

あとがき
文庫版あとがき

・初出
・空が分裂する
別冊少年マガジン、2009年10月号~2011年6月号

・花火、逝く
文學界、2008年5月号

・ 6個目の心臓
真夜中、2008 Early Autumn

・きりとられた祝福
真夜中、2010 Early Autumn

・夜空の体温、ぼくの気温
真夜中、2011 Early Spring 真夜中のプラネタリウム

・リトルリトル/死後
ユリイカ、2010年12月号

・冬の星の木の実
apart my surround magazine vol.000

・夏襲来
滅び前
現代詩手帖、2012年3月号

・50億
界遊005、2011年3月号

・刊行情報
空が分裂する(講談社)
2012年10月

空が分裂する(新潮文庫nex)
2015年9月1日

・受賞歴、ランキング

・読了日
2018年11月21日

・読了媒体
空が分裂する(新潮文庫nex)
初版

・感想メモ
別冊少年マガジンという漫画誌で連載されたからだろうけど、僕の好みからすれば言葉は若く、軽く、元気だった。それら語尾が「~だね」のような文体は僕にはすんなりとは入ってこなかった。しかし読んでいて、どこか寂しいような、自分は一人なのだとも言いたげな孤独感は伝わってくる。それらはときに「世界」「人類」「都会」「海」のような言葉を繰り返し使用することで主張されているだろう。

また、単語から感じられるのは、自らの頭上に存在するものに対する強い関心である。タイトルの「空が分裂する」にしてもそうだが、作中にはほかにも「星」「恒星」「夕焼け」「星空」「太陽」「月」が登場する。これらの存在は人間の生の短さ、儚さと対比させられているようでもある。

本当の意味で帰ってくるひとはいない。みんなどこかで生まれて、そしてここにきて、ここか、他のどこかで死ぬ。(p56)

100年後だれもぼくをしらないせかい、ぼくが苦しみながら死んだ、ことをしらないせかい、ありがたみを知らない世界。(引用者中略)ぼくらは過去や歴史に服の裾をひっぱられて、じわじわと舞台からひきずりおろされ、それと同時に未来の輝かしい幕開けが始まるのだ。ぼくはそれでも、新しい命や、ちいさな子供、夢や科学や占いや音楽に、拍手をしなければいけないのだろうか。…(p92)

理解しやすく語りかけるような詩をすらすらと読んでいくと、ときおり出てくるなんでもないような雰囲気を醸し出している文章がいきなりぶん殴ってくる。しかもそれがうるさくもなく、しつこくもなく、ありがたすぎることもなく、いきなり。これにはやられたよという感じだった。これにガツンと「やられてしまう」人もいっぱいいるだろう。(2018.11.21)

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