ひきだしにテラリウム /九井諒子

・形式

漫画、ショートショート、短編集、コメディ、ギャグ、昔話、ファンタジー、SF

 

・あらすじ

ウェブ文芸誌での連載を経て、著者の3冊目の単行本となった本作は、最短で2ページ、最長でも11ページという、コンパクトなページ数で完結する作品を集めたショートショート・コミック。年に一度の“ 龍猟”を習わしとしている里山で龍料理を食す『龍の逆鱗』、長い冬が続く村の一人の青年が春を探して森を歩く『湖底の春』、「まる」「さんかく」「しかく」を料理して食べる過程を描く『記号を食べる』、人間誰もが物語の主人公として生まれ暮らす世界の『ショートショートの主人公』、架空国家についての中学生たちの話し合いが展開していく『遠き理想郷』、とある生物の進化の過程を描いた『生き残るため』など、全33編を収録。コメディ、昔話、寓話、ファンタジー、SFなどさまざまな発想を、少女マンガ風や劇画調のタッチも織り交ぜての多彩な絵柄で描きあげる、千変万化の掌編集。

 

・収録話数

「すれ違わない」
「湖底の春」
「恋人カタログ」
「恋」
「かわいそうな動物園」
「パラドックス殺人事件」
「未来面接」
「龍の逆鱗」
「TARABAGANI」
「遺恨を残す」
「代理裁判」
「ノベルダイブ」
「記号を食べる」
「えぐちみ代このスットコ訪問記 トーワ国編」
「旅行へ行きたい」
「ユイカ!ユイユイカ!」
「ピグマリオンに片思い」
「すごいお金持ち」
「語り草」
「春陽」
「秋月」
「かわいくなりたい」
「パーフェクト・コミュニケーション」
「ショートショートの主人公」
「遠き理想郷」
「神のみぞ知る」
「すごい飯」
「生き残るため」
「スペースお尺度」
「ひきだし」
「こんな山奥に」
「夢のある話」
「未来人」

 

 

・初出

「TARABAGANI」人魚禁漁区(個人誌)、2011年5月

「えぐちみ代このスットコ訪問記 トーワ国編」アオハル0.5号、2011年8月

「神のみぞ知る」にゃんソロ、2012年11月

「ひきだし」描き下ろし

その他、マトグロッソ、2011年8月~2012年12月

 

 

・刊行情報

ひきだしにテラリウム(イースト・プレス)

2013年3月

 

・受賞歴、ランキング

第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞

2011年から12年にかけて短編集『竜の学校は山の上』『竜のかわいい七つの子』が続けて刊行され、ファンタジーを現実に引き寄せる手法、時代や舞台設定の自在さで読者に驚きを与えた著者。13年には、更に1冊に何と33ものショートショートが詰まった単行本『ひきだしにテラリウム』が刊行された。「もし○□△などの記号が食べ物だったら……」「エッセイマンガとそのマンガの現実を、絵柄を変えて描いたら……」といったテーマに応じて巧みに変化する画調を含め、短くとも変わらないどころかより濃くなった創作意欲あふれる内容で、読者にうれしい驚きを与えた。そこには脳みそを直接もみしだかれるような快感がある。それ以前にも同人誌やお絵かきSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「pixiv」、自身のウェブサイトなどでの創作活動があるとはいえ、商業単行本で3冊目というキャリアなら新人賞でもおかしくはない。だが、続けて発表された作品群のまさに「優秀さ」が、優秀賞にふさわしいと判断された。(ヤマダトモコ)

 

・読了日

2017年9月6日

 

・読了媒体

ひきだしにテラリウム(イースト・プレス)

 

・感想メモ

※ネタバレ有以下反転。

「代理裁判」

自分の中での葛藤、判断の悩みが、複数人の自分で話し合いになるっていうのは他の作品でも見たことはあるけど、裁判になると途端におもしろい。(石黒正数でもあったかな?)「裁判はいつも公平でないとね」と言ったすぐ後に公平でなくなるのもいい。

「ノベルダイブ」

駐輪場に馬を並べて置いておくって発想!

 「春陽」

犬や猫じゃなく人間になると不思議な感じ。

「遠き理想郷」

いじめを題材とした紙芝居を作るはずが、いつの間にかゲルマン民族の大移動並みの大事に。

「スペースお尺度」

この話めちゃくちゃ上手。「彼女」「太陽」、「彼女」「太陽系」「俺」。なんだか壮大なテーマかと思いきや、その誰しもが抱えているような途方もない壮大さがフワフワと浮かび上がっていくことなく日常に落とし込まれている。上手い。終わり方も気持ちいい。

それにしてもいろいろな絵柄で描き分けられる画力の高さ。カバーイラストも一枚絵で綺麗。(2017.09.06)

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