・形式
小説、長篇、警察、刑事、犯罪、ミステリー
・あらすじ
ある町で発生した連続通り魔殺人事件。
所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は
目撃証言による“コートの男”を追う。
しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。
“コートの男”とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。
翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、
人は救うことができるのか。
いま世界が注目する人気作家。
デビューから13年、著者が初めて挑む警察小説。
人間存在を揺さぶる驚愕のミステリー!
・収録話数
全三部
・初出
毎日新聞、2014年1月4日~11月29日
・刊行情報
あなたが消えた夜に(毎日新聞出版)
2015年5月20日
・読了日
2017年8月13日
・読了媒体
あなたが消えた夜に(毎日新聞出版)
第2刷
・感想メモ
タイトルの「あなた」とは誰?
地の文、一文がいつもにも増して短い。一文を長くすると読みにくくなるのではないか、それは嫌だという趣旨の発言か文章を読んだことがあるはずだが、どこでかは失念した。
形容が「~のように。」で統一されたみたいに終わっている。
小橋さん、少し変わった女性登場人物の系譜。ほう。「この女性は変わってる」デラックスパフェ。双眼鏡。アイスクリーム、パフェはやっぱり嘘。
地の文が少なく、会話文が多い。初期とは全然違う。
マスコミに対する問題、初期に対して社会に関心のある登場人物か?少なくとも表面的か?新聞連載小説ではある。
「赤い点」
野川の長い話をなぜ二人は静かに聞いているのか?
「何かに気を取られていなければ、自分の内面が泥濘のように沈んでいく。」
ネットの暗部に批判的だ。
警察機構は作者の言う通り、ぼんやりと不透明でカフカ的だが、カフカならそこには決してたどり着かないしたどり着けない。それはただの抽象物?
主人公の反撥は形式的だ。
仕事、就職に関しての憂鬱感。
セリフ回しが映像的?伊坂みたい。
登場人物のカップルの描写、関係はまたこうなのか。
アヤシイ、心理学とか宗教とかアヤシイ。
またこういう展開なのかと思う。「去年の冬、きみと別れ」を思い出す。
第一部、第二部とおもしろく読んでいったが、中村文則の本領とも言え一番読ませる第三部に入り、反対に冷えていくようだった。『去年の冬、きみと別れ』や『悪意の手記』、『最後の命』を思い出したせいかもしれない。しかしエピローグはラスコーリニコフとソーニャのようでとても良かった。一貫したテーマに同工異曲も感じるが、徐々に『罪と罰』に近づいていっているのではないかとも思った。
小橋さんは好きだけど、作者のちょっと変わった女性登場人物の系譜はやっぱり苦手。(2017.08.13)
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