『バスジャック』三崎亜記の感想

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『バスジャック』 三崎亜記著/集英社文庫

【内容】

今、「バスジャック」がブームである―。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。

【著者紹介】

三崎亜記

1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2004年、「となり町戦争」で第17回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー

【感想】

最近、村上春樹の初期四部作を読んでいたせいで、ブログの記事も異様に偏っていましたので、読み終えたのですが記事を書くのはまた今度にして、別の本を読むことにしました。

読んだのは、近頃いろんなブログ及びサイトでよく名前を見かけるようになった、三崎亜記さんの小説です。前作の、「となり町戦争」はネットでの評価が高かったので楽しみにして読んだんですが、正直そこまで面白いとは感じませんでした。まぁそんなこともあります。村上春樹にしたって「ダンス・ダンス・ダンス」は無茶苦茶おもしろかったんですが、「ねじまき鳥クロニクル」はそこまで好きじゃありません。

しかも今回は、長編より好きな短編集(個人的に中編→短編→長編の順に好きです。)ということで、楽しみに読んだんですが、何か相性の悪さを感じてしまいました。

バスジャックが娯楽として整備された世界、二階扉の設置が求められる世界、そんな不条理な世界観は、カフカ的、安部公房的とも言えるんですが、簡単に言ってしまうとオチが気に入らなかったのだと思います。

特に「二階扉をつけてください」は、発想自体はとても個性的だし、こういう話を書ける人はそうそういないと思うんですが、何だろう・・。この二階扉の話はとくに良かったと思うんですが、用途を多少なりとも書いてしまってオチが読めてしまったような・・・。

カフカって、一旦こうだと小説の中で設定したことは最後までそうだとしていたと思うんですが、三崎さんの場合は途中でそれが異常なものだと覆しています(送りの夏)。この辺りが僕の苦手な理由なのかも知れません。

とは言ってもこの前に読んだ「ダンス・ダンス・ダンス」が個人的に大当たりだったので、相対的にこの作品の評価が厳しくなっていると思います。

家には「失われた町」もあるのでそれも読んでみたいと思います。

・形式

小説、短篇集

・あらすじ

三崎亜記短編集「バスジャック」

あの『となり町戦争』に続く衝撃作!
話題のデビュー作に続く注目の第2作。バスジャックブームの昨今、人々はこの新種の娯楽を求めて高速バスに殺到するが…。表題作他、奇想あり抒情ありの多彩な筆致で描いた全7編を収録。

今、「バスジャック」がブームである―。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。

・収録話数

全7編

・初出

二階扉をつけてください  小説すばる、2005年2月号

しあわせな光       小説すばる、2005年3月号

二人の記憶        小説すばる、2005年4月号

バスジャック       小説すばる、2005年6月号

雨降る夜に        小説すばる、2005年8月号

動物園          小説すばる、2005年7月号

送りの夏         小説すばる、2005年9月号

・刊行情報

バスジャック(集英社)

2005年11月26日

バスジャック(集英社文庫)

2008年11月1日

・受賞歴、ランキング

第59回日本推理作家協会賞短編部門候補( 「バスジャック」)

・読了日

2009年3月20日

・読了媒体

バスジャック(集英社文庫)