『東大落城―安田講堂攻防七十二時間』佐々淳行の感想

ノンフィクション

『東大落城―安田講堂攻防七十二時間』 佐々淳行著/文春文庫

【内容】

昭和四十四年一月ー放水に煙る時計塔、屋上から投下される人頭大の石塊、火災ビンに灼かれた機動隊員の苦痛に歪む顔・・・その時、作家三島由紀夫から緊急電話が!六十年代学園紛争の「天王山」といわれ、全国民が注視した東大安田講堂の攻防戦を克明につづった迫真のドキュメント。文藝春秋読者賞受賞作品。

【著者紹介】

佐々淳行

1930年東京生まれ。日本の警察官僚出身の国家危機管理のエキスパートである。東大安田講堂事件やあさま山荘事件など歴史に残る事件をはじめ、数々の事件を担当、指揮し、要人の警備担当責任者として抜擢され、元防衛施設庁長官や初代内閣安全保障室長など数々の要職を務めあげた。

【感想】

以前読んだ、村上龍の『69 sixty nine』や庄司薫の『赤、黒、白、青』の四部作、(「全共闘」という語は村山由佳の『星々の舟 Voyage Through Stars』にも出てきました)もしくは今読んでいる村上春樹の『1973年のピンボール』やを読むにあたって、昭和を知らない僕には作品を理解する上で「全共闘」というものがどうも障害になってしまっているような気がしました。

特に最初の2つの作品群においてそれは致命的なことでした。『69 sixty nine』において主人公達はバリケード封鎖を行いますが、時代背景は全く知らなくては、バリケード封鎖は「なぜ」とさえ思えたからです。

そして、この前テレビでやっていた東大安田講堂事件の特番を見て感動したのを機に、この頃について書かれた本を色々読んでみようと思った次第です。

この本を読んでみると、この本は当時指揮をとっておられた佐々さんの書かれた本と言うことで、かなり警察側の描写が多いですし、学生達の様子はよく分かりません。さらに言うなら学生達の主張がよくわからないのも残念なところです。この本は言うならばかなり警察寄りに、民衆寄りに書かれた本で、テレビ番組はかなり学生よりだと言えます。

以前にyoutubeで見たデモのうち、もはや暴挙と呼べるほどのものは異常故に非現実的で不思議でした。一般の人達が見ている先では、学生達が交番を襲撃していたというのは、ピカソの絵を見るぐらい不思議でした。

この先もこの時代について書かれた本を読んでみたいと思います。ただの「時代」とか「風潮」で言い表せられないことだと思うからです。

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