『友情』武者小路実篤の感想

小説

『友情』 武者小路実篤著/新潮文庫

・内容

主人公野島とその親友大宮の友情と恋愛-青春時代のあらゆる魂の問題がこの2つのテーマをめぐって展開されるこの作品は,武者小路実篤(1885-1976)の数多い作品の中でも,とりわけ多くの若い読者に愛読されてきた.身につまされる思いで読み進んだ経験のある読者も多いであろう永遠の青春小説.(解説=河盛好蔵)

主人公野島とその親友大宮における友情と恋愛の相剋―青春のあらゆる問題がこのテーマを中心に展開される、武者小路実篤の数多い作品の中でも、とりわけ多くの若い読者に愛読されてきた永遠の青春小説。

・感想

この小説が提示しているテーマは、単純であるが故に永遠のものである。要は友情をとるか恋愛をとるかどちらが一体重要なのかと言うことである。

親友同士である、野島と大宮は同じ人を好きになってしまう。ただそれだけである。しかも大宮が杉子を好きになった理由が、野島から彼女の魅力を語られたからだというのは、なんとも心苦しい。なので、大宮は野島に杉子を好きになったなどとは決して言えないのである。

本作は、べたべたの恋愛小説ではない。同年代の作家と比べ非常に読みやすい文章で綴られた苦悩の物語である。野島、大宮、杉子の三角関係についてである。作品全体には、ロマンチックな(時にロマンチックすぎる)状況がとても多く、思わず微笑んでしまいそうになったり、野島を応援したくなったり、杉子に対して不満を抱いたりしてしまうかも知れない。

最後に、杉子は大宮に惚れて、彼について外国へ旅立ってしまう。常に野島の視線で物語は描かれており、読者は大きな喪失感を覚える。そのとき、著者は、友情を重視して、野島に共感し大宮を「友情を軽視している奴」だと非難してもらいたかったのか。それとも、恋愛を重視し、野島をふぬけたふがいない奴だとみなし、大宮と杉子の幸せを願ってもらいたかったのか。これは、たとえ題が『友情』だとしても即断できない重要な論題である。私も結論がだせないでいる。

現代でも読みつがれる理由はそこにある。読みやすい文章で描かれた世界は、人の関係、思想はまさに普遍のものなのである。

・形式

小説、長篇、恋愛

・あらすじ

主人公野島とその親友大宮の友情と恋愛-青春時代のあらゆる魂の問題がこの2つのテーマをめぐって展開されるこの作品は,武者小路実篤(1885-1976)の数多い作品の中でも,とりわけ多くの若い読者に愛読されてきた.身につまされる思いで読み進んだ経験のある読者も多いであろう永遠の青春小説。

・収録話数

・初出

大阪毎日新聞、1919年

・刊行情報

友情(以文社)

1920年

・読了日

2008年8月5日

・読了媒体

友情(新潮文庫)

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