『サマースクールデイズ』深沢美潮の感想

小説

『サマースクールデイズ』 深沢美潮/ピュアフル文庫   

・内容

引っこみ思案でなかなか言いたいことを言えない千里は、入ったばかりの高校も休みがち。そんな彼女も、母親にすすめられ通うことになったサマースクールで、爽やかなハーフの少年・ジャスティンと出会い、じょじょに心を開く。だが、不登校の原因ともなった幼なじみの瑞穂が気になって・・・。
ファンタジー小説の第一人者が、揺れ動く少女の心を瑞々しくもリリカルに描いた、ひと夏の青春物語。

・感想

本作を読み終わったとき、ラストシーンでの瑞穂の発言に戸惑いを覚えてしまった方はどのぐらいいるだろうか?と問えば中高生では無い方、特に大人は多いのではないだろうか。千里から話しかけてもらえない、つまり自分から話しかけないとどうなるのだろうか?などと思い実行してみた、などということは一見いかにも小説の中のことだけであって現実ではこんなことはないだろうと思われるかも知れないが、実はそうでもなく実際私自身にも似たような経験があるものだ。と言っても私が言い出し実行に移したわけではない。友人が別の友人に対し、似たようなことを言い出し疎外を謀ったのである。さすがに私はそれはやり過ぎだと思い、止めさせたというわけなのだ。文章にしてみればわずかこれだけのこと、この2,3行の文章の内容が実行されていたらどれだけの影響が与えられるか想像に難くない。それだけにこの小説に於いてこの部分は重く、もし「ふーん」などと、大した感慨も持たずに読まれた方がいたらもう少し考えてみられてもいいのではないだろうか?

さて一方で主人公千里と瑞穂の関係も非常にややこしいものになっている。幼なじみでありずっと同じ教室で暮らしてきた二人、それが高校に入り別のクラスになるやいなや仲違いをしてしまう。これにおいても私はこの二人と似たような関係に陥ってしまったことがあった。あくまで私事なのでここで詳細を語ることは避けるが、仲違い以前は親友にも名前を挙げることもあった彼と、ほとんど話さなくなり互いに悪口を言い合うのはなんとも嫌な事態だった。その後私は千里と同じようにもしくはそれよりも酷いのかも知れないほどに、体調を崩すことになってしまった。2ヶ月ほど頭痛を発し、熱を出し、腹をこわしてしまった。これは本当に嫌な日々であった。私たちは彼女たちのような謝罪をすることもせず、今では普通に話すようになったが、それでもぎこちなさが残ってしまった。おそらく消えないだろう。

その後、私は別の環境で友人を得た。これまたこの小説と同じようにである。よって私は本作の登場人物たちに共感することができた。けれどそれは私だけのことではないだろう。多くの学生がこれを経験しているのだと思う。

そんな風にこの小説を読んでいくと、多少の主人公に対する甘い部分には目を瞑るとしても、楽しめるのではないだろうか。理由より結果が重要な場合もあるのだ。

・形式

小説、長篇、思春期、青春

・あらすじ

引っこみ思案でなかなか言いたいことを言えない千里は、入ったばかりの高校も休みがち。そんな彼女も、母親にすすめられ通うことになったサマースクールで、爽やかなハーフの少年・ジャスティンと出会い、じょじょに心を開く。だが、不登校の原因ともなった幼なじみの瑞穂が気になって……。
ファンタジー小説の第一人者が、揺れ動く少女の心を瑞々しくもリリカルに描いた、ひと夏の青春物語。

・収録話数

・初出

・刊行情報

サマースクールデイズ(幻冬舎)

2002年6月

サマースクールデイズ(ピュアフル文庫)

2006年6月

・読了日

2008年7月11日

・読了媒体

サマースクールデイズ(ピュアフル文庫)