『星々の舟』村山由佳の感想

小説

感想

本作に紡がれている物語は、今までの『天使の卵』や『おいしいコーヒーのいれ方シリーズ』に代表されるような「全力で恋愛してます!」といったようなものではありません。主人公の年齢もこれまでは、十代後半から、二十代の半ばであったのが、三十代の半ばや五十代と世代が変わっています。(女子高生も出てきますが)でも書かれているのは恋愛です。

最後の章を除く作品全体に漂っているのは、寂寥感、孤独感というものでしょうか。

中心に描かれている、貢、暁、沙恵、美希の四兄弟はいずれも、「独りぼっち」なのです。「恋愛小説なのになぜ独りぼっち?」という疑問を抱く方も多いでしょうが、彼らがしている恋愛とは実らないものなのです。

村山由佳らしく、内面の描写に優れた小説であるのですが、読むのが前述の作品と比べて辛かった。けれど面白かった。残念なところは、序盤で感じた淋しさが後半で盛り上がらなかったことでしょう。一貫して物語が続いていればもっと読者に感動を与えることができたのではないかと。

村山由佳は若い年代の恋愛小説を書くのに長けている作家だと再認識しました。

第129回直木賞受賞

・形式

小説、長篇

・あらすじ

禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄、そして父は戦争の傷痕を抱いて―愛とは、家族とはなにか。こころふるえる感動の物語。

・収録話数

全六章

あとがき

・初出

別册文藝春秋、2002年1月号~11月号(全6回)

・刊行情報

星々の舟 Voyage Through Stars(文藝春秋)

2003年3月30日

星々の舟 Voyage Through Stars(文春文庫)

2006年1月10日

・受賞歴、ランキング

第129回直木三十五賞(オール讀物、2003年9月号)

・読了日

2008年4月1日

・読了媒体

星々の舟 Voyage Through Stars(文藝春秋)