『走れ、セナ!』香坂直の感想

小説

『走れ、セナ!』 香坂直著/講談社

【内容】

第45回 講談社児童文学新人賞佳作受賞
大型新人作家が放つ、とってもハートフルな青春アスリート小説!
秋の陸上競技会の100メートル走でリベンジを誓う小学5年生の女の子セナ。だけど2学期早々、陸上部が突然解散することに。そんなのアリ!?どうする、セナ!

【著者紹介】

香坂直

1964年岡山県生まれ。大阪教育大学(肢体不自由児教育教員養成課程)卒業。『走れ、セナ!』で、第四十五回講談社児童文学新人賞入賞。京都市在住

【感想】

アイルトン・セナをご存じでしょうか。「音速の貴公子」と称されたF1レーサーです。彼は最速を追い求めようとしたがゆえに、レース中にコンクリートウォールに激突して亡くなってしまいました。

本作の主人公であるセナは、そんな彼と同じ名前を持つ女の子です。同じく、人類最速を追い求める陸上の100メートル競技をしています。けれど、決して厳しい競技の世界を描いたものではありません。ただ、小さな競技会に参加する話です。

本作のテーマは、「普通」ということです。セナには母親しかいません。恵まれている他家に比べて自分が劣っている理由が「父親がいないこと」だと考えてしまいます。そんなときセナは、自宅を普通ではないと思い始めます。そのとき私は「普通」という考え方は、自分という狭い範囲でしか通用しないものだと感じました。少数は非力であり、弱者だとされてしまうことを感じました。

セナは競技会の予選で好タイムをたたき出し、はじめて決勝へ進出します。(これは「普通」でないと思っていた新任の先生の指導が的確だったということも表しています。)しかし、セナは思うように走れません。競争が生み出す緊迫感や重圧というものを押しのける力が無かったのです。そんな当然のことが小説の中だからこそ、新鮮でした。経験のない無名な選手が、才能を振り回して短期間で英雄になってしまうのが最近多いと感じていたからです。

ただ、それまで嫌悪感を抱いていた相手とうちとけるのが早いのではないかという感はありますが、この年代ならそれも自然なことでしょう。

第45回講談社児童文学新人賞佳作
第16回椋鳩十児童文学賞受賞

・形式

小説、陸上

・あらすじ

どうして学校が勝手に陸上部を解散するの?
どうやったら一ノ瀬さんみたいに速く走れるの?
どうしてうちにはお父さんがいないの?
読めばあなたもセナを応援したくなる!
青春小説の大型新人デビュー作!

音速の貴公子から名前をもらった小学5年生のセナは、足の速さには自信があったのに、クラス対抗リレーで一ノ瀬さんに負けてしまう。彼女はに所属する全国大会4位の選手だったのだ。彼女と一緒に走れる競技会に向けて練習しようという矢先、学校の事情で陸上部が解散するって!? ピンチ!

・収録話数

・初出

・受賞歴、ランキング

第45回講談社児童文学新人賞佳作

第16回椋鳩十児童文学賞受賞

・読了日

2008年2月20日

・読了媒体

走れ、セナ!(講談社)

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