『リアル鬼ごっこ』山田悠介の感想

小説

『リアル鬼ごっこ』 山田悠介著/幻冬舎文庫

・内容

(佐藤〉姓を皆殺しにせよ!西暦3000年、国王は7日間にわたる大量虐殺を決行。佐藤翼は妹を救うため、死の競走路を疾走する。若い世代を熱狂させた大ベストセラーの〈改訂版〉。

全国500万の「佐藤」姓を皆殺しにせよ!―西暦3000年、国王はある日突然、7日間にわたる大量虐殺を決行した。生き残りを誓う大学生・佐藤翼の眼前で殺されていく父や友。陸上選手の翼は、幼い頃に生き別れた妹を探し出すため死の競走路を疾走する。奇抜な発想とスピーディな展開が若い世代を熱狂させた大ベストセラーの改訂版。

・感想

もはや、説明の必要もないほどに有名になった作品である。傍若無人な王様が、「自分以外に佐藤さんがいるのが気にくわない」という身勝手な理由から全国の佐藤さんを狩り(殺し)はじめるという物語だ。

※以降、間違っている点がありましたらご報告いただけると幸いです。

まず、ありえないであろう点が多い。
・「佐藤探知ゴーグル」なるものを、3日で100万個用意したこと。
・三十世紀なのに王政という他は現在の日本とまったくかわっていないこと。(佐藤探知ゴーグルを、3日で100万個用意できる科学力があるとは到底思えない。)
・5日間(5時間)という短期間、100万人の鬼で495万人の佐藤さんが捕まえられるのかということ。
・高度な技術が発達しているのにも関わらず、王宮の周りには先のとんがった頑丈な鉄の柵があるだけだということ。
・治安が悪いという説明があるのに、佐藤さんが暴動をおこさないこと。
・王宮の衛兵がわずか数百名であること。(軍隊があるかどうかはわからないが、いくら武装しているといっても佐藤さんの数を考えれば、戦えば勝てることはわかる。)
・佐藤さんでない人が、ゲームの時間中に普通に出歩いていること。(危険だと思うのだが。見たいとも思わないだろうし。)
・ラストで、謁見の際に身体検査されないのかということ。
など、本来大きな魅力になるべきその設定に難が多い。

物語が進むにつれて「偶然」や「運良く」という場面がやたら多いが、他の佐藤さんに守られて(あるいは他の佐藤さんを見捨てて)必死に逃げていく主人公に感動も覚えるだろう。(ありきたりといえばそれだけだが)

逃げていくうちに追いつめられていく主人公の描写を書いているが、主観的な視点だけでなく、客観的な視点からも物語をつくってほしかった。

一番残念なのは、間違った表現が多いことでも、無理な設定が多いことでもない。会話が死んでいることだ。興が醒めてしまった。伊坂幸太郎や、特にライトノベルが好きな人は、飽きてしまうだろう。

いろいろと悪いところばかりを述べてしまったが、私が本作を読んでから4年以上が経っている。それでもこれだけ多くのことを覚えているということが本作の魅力を物語っているのかもしれない。しかし、百田尚樹著『永遠の0』を読んだばかりの私としては、その魅力も陳腐なものにしか思えなかった。まるで、著者の「こういう展開にすれば感動するんだろ?」という声が聞こえるようであった。

『永遠の0』も本作も今まで身近にいた人間がいなくなってしまう悲しみを描いているのだが、その重さの差は大きい。本作で感動できなかった方には、『永遠の0』も読んでみるといかがだろうか。

語法、文法上の間違いはたしかに多い。だが、皆が(そんなつまらないことを)批判していることに追随して、多くの人が本作にまるでいいところが一つもないように語ってしまうのは残念だ。

・形式

小説、サスペンス

・あらすじ

(佐藤〉姓を皆殺しにせよ!西暦3000年、国王は7日間にわたる大量虐殺を決行。佐藤翼は妹を救うため、死の競走路を疾走する。若い世代を熱狂させた大ベストセラー。

全国500万の「佐藤」姓を皆殺しにせよ!―西暦3000年、国王はある日突然、7日間にわたる大量虐殺を決行した。生き残りを誓う大学生・佐藤翼の眼前で殺されていく父や友。陸上選手の翼は、幼い頃に生き別れた妹を探し出すため死の競走路を疾走する。奇抜な発想とスピーディな展開が若い世代を熱狂させた大ベストセラー。

・収録話数

・初出

・読了日

・読了媒体

リアル鬼ごっこ(幻冬舎文庫)