『町長選挙』奥田英朗の感想

小説

『町長選挙』 奥田英朗著/文藝春秋

【内容】

伊良部、離島に赴任する。そこは町長選挙の真っ最中で…。「物事、死人が出なきゃ成功なのだ」直木賞受賞作『空中ブランコ』から2年。トンデモ精神科医の暴走ぶり健在。

離島に赴任した精神科医の伊良部。そこは、島を二分して争われる町長選挙の真っ最中だった。伊良部もその騒動に巻き込まれてしまい…。「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」でお馴染みの、トンデモ精神科医の暴走ぶり健在!

『イン・ザ・プール』、『空中ブランコ』で、好評をはくした、精神科医伊良部シリーズ第3作。

【著者紹介】

奥田 英朗

1959(昭和34)年、岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て、作家に。2002年に『邪魔』で第4回大藪春彦賞、04年に『空中ブランコ』で第131回直木賞、07年に『家日和』で第20回柴田錬三郎賞受賞。

【感想】

本作では患者たちは一様に体に異常をきたしています。(精神科に通っています)暗所、閉所恐怖症の球団オーナー、平仮名が書けなくなるIT企業社長、すぐに運動をしたがる女優。

まず、気になったのは実在の人物をモデルになっている患者たちが、次々と出てくることです。おもしろいものの、患者のイメージが固定されてしまった感じがしました。

もう一つ気になったのは、これまで不思議な存在だった看護士のマユミが、普通の人間に近づいていることです。趣味があり、お金にうるさく、若さを全身から感じさせる彼女。巷での評判は五分五分ですが、僕は好感がもてました。

嫌だったのは、伊良部医師の子どもっぽさに磨きがかかっていたことです。無知さ、馬鹿さで笑いを誘っていることが見え見えで、ここは嫌な変化でした。

第1作『イン・ザ・プール』を読み、読者を笑わせながら社会に警鐘を鳴らしている作品だと、感心させられただけに、第2作、第3作と進むにつれて笑いに重きを置く作品になっていっていることは非常に残念です。3話目の終わり方も不満でした。

ですが、全体的にほのぼのした雰囲気が漂っていたのは微笑ましいかぎりです。その意味で、表題作よりは、「オーナー」「アンポンマン」の2つが面白かったです。特に、泉田首相の弔辞はすばらしい。

・形式

小説、連作短篇集

・あらすじ

町営の診療所しかない都下の離れ小島に赴任することになった、トンデモ精神科医の伊良部。そこは住民の勢力を二分する町長選挙の真っ最中で、なんとか伊良部を自陣営に取り込もうとする住民たちの攻勢に、さすがの伊良部も圧倒されて…なんと引きこもりに!?泣く子も黙る伊良部の暴走が止まらない、絶好調シリーズ第3弾。

伊良部、離島に赴任する。そこは町長選挙の真っ最中で…。「物事、死人が出なきゃ成功なのだ」直木賞受賞作『空中ブランコ』から2年。トンデモ精神科医の暴走ぶり健在。

離島に赴任した精神科医の伊良部。そこは、島を二分して争われる町長選挙の真っ最中だった。伊良部もその騒動に巻き込まれてしまい…。「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」でお馴染みの、トンデモ精神科医の暴走ぶり健在!

『イン・ザ・プール』、『空中ブランコ』で、好評をはくした、精神科医伊良部シリーズ第3作。

・収録話数

「オーナー」

「アンポンマン」

「カリスマ稼業」

「町長選挙」

・初出

「オーナー」   オール讀物、2005年1月号

「アンポンマン」 オール讀物、2005年4月号

「カリスマ稼業」 オール讀物、2005年7月号

「町長選挙」   オール讀物、2006年1月号

・読了日

2008年2月15日

・読了媒体

町長選挙(文藝春秋)