『図書館戦争』有川浩の感想

小説

『図書館戦争』 有川浩著/メディアワークス

【内容】

───公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。
超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ!
敵は合法国家機関。
相手にとって不足なし。
正義の味方、図書館を駆ける!

笠原郁、熱血バカ。
堂上篤、怒れるチビ。
小牧幹久、笑う正論。
手塚光、頑な少年。
柴崎麻子、情報屋。
玄田竜介、喧嘩屋中年。

この六名が戦う『図書館戦争』、近日開戦!

【著者紹介】

有川 浩

高知で育ち、進学時に関西へ。現在、関西暮らし十有余年目。第10回電撃小説大賞「大賞」受賞作『塩の街』(メディアワークス刊)にて作家デビュー。小説誌「野生時代」(角川書店刊)にも不定期連載中。

【感想】

現在、文庫本は1冊600~700円、単行本は1400~1700円ほどです。しかし本作の世界では、本はどんなに安くても1冊3000円。へたすると1冊10000円もするというのです。

これは、「メディア良化法」という法律のせいなのです。この法律は、「良識」に反する言葉を、テレビ、書籍、雑誌から排除しようとしたもので、現行の日本国憲法にある「言論、思想の自由」に違反しているように思うのですが、憲法の穴をすりぬけ、国民の無関心さもあいまって成立してしまったとのこと。それゆえ、本屋にある「メディア良化法」に違反する多くの本が狩られてしまい、本の値段が高騰することになってしまったのです。

そんな武装して強行される狩りに断固として抵抗したのが図書館なのです。図書館には、「メディア良化法」に違反する蔵書が数多くあるのですが国家機関の干渉をよしとしなかったのです。そんなとき、抵抗する図書館に業を煮やした「メディア良化法」賛同団体が武装して図書館を襲撃する事件が発生してしまいます。さすがに、図書館方も抵抗できず12名の尊い命と多数の蔵書を失ってしまうことになってしまいました。これは後に「日野の悪夢」と呼ばれることになる図書館界未曾有の大惨事です。

その後、「日野の悪夢」を経験し、警察の協力が絶対でないことを知った生き残りの主導で、「図書館隊」なる自衛の軍隊を持つことになります。

主人公の郁は最前線部隊である「防衛部」の新隊員であり、成績優秀な手塚、教官である堂上、小牧と共に日々訓練に励んでいる、背の高い女の子。

彼女の性格は非常にまっすぐで、彼女は、正直に怒りまた、泣きます。そんな彼女には、「おてんば」という言葉と共に「正直」、「正当」という言葉があてはまります。本が好きで、図書館隊隊員になった彼女は本を守らずにはいられないのです。彼女は銃ではなく、正直さを武器にして戦っているとまで言えます。

日本が一時的、局地的ではあるが事実上の内戦状態にあることや、郁の堂上教官に対する不躾な態度、周辺地域の閉鎖が必要とはいえ図書館隊(非戦闘員含む)に銃口を容赦なくむける国家機関があるなど、設定や描写にやや難がありますが、国家からの圧力に屈せず戦う人々を描いていることは非常に興味深くおもしろいです。

伊坂作品のテンポのよい会話が好きな人ならば本作も楽しめるのではないでしょうか。

登場人物が非常に有能である人物ばかりです。しかしそんな登場人物たちを、自然にそつなくまとめているのは筆者の筆力が高いということなのでしょうか。

私の薄い財布がぺったんこになってしまうだろうこの世界が実現しないことを祈るばかりです^^

2007年度本屋大賞第5位
「本の雑誌」2006年上半期エンターテインメント第1位
「キノベス」2006年度ベスト30 第4位
「SFが読みたい!」2006年度ベストSF国内編第6位

・あらすじ

2019年。公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる『メディア良化法』の成立から30年。日本はメディア良化委員会と図書隊が抗争を繰り広げていた。笠原郁は、図書特殊部隊に配属されるが……。

2019年(正化31年)。公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る“王子様”の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した、一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが…!?番外編も収録した本と恋の極上エンタテインメント、スタート。

───公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。
超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ!
敵は合法国家機関。
相手にとって不足なし。
正義の味方、図書館を駆ける!

笠原郁、熱血バカ。
堂上篤、怒れるチビ。
小牧幹久、笑う正論。
手塚光、頑な少年。
柴崎麻子、情報屋。
玄田竜介、喧嘩屋中年。

この六名が戦う『図書館戦争』、近日開戦!

・収録話数

・初出

・受賞歴、ランキング

2007年度本屋大賞第5位
「本の雑誌」2006年上半期エンターテインメント第1位
「キノベス」2006年度ベスト30 第4位
「SFが読みたい!」2006年度ベストSF国内編第6位

・読了日

2008年1月17日

・読了媒体

図書館戦争(メディアワークス)