『ショートソング』枡野浩一の感想

小説

『ショートソング』 枡野浩一著/集英社文庫

【内容】

ハーフの美男子なのに内気で、いまだチェリーボーイの大学生、克夫。憧れの先輩、舞子にデートに誘われたが、連れていかれたのはなんと短歌の会!?しかも舞子のそばには、メガネの似合うプレイボーイ、天才歌人の伊賀がいた。そして、彼らの騒々しい日々が始まった―。カフェの街、吉祥寺を舞台に、克夫と伊賀、2つの視点で描かれる青春ストーリー。人気歌人による初の長編小説。

【著者紹介】

枡野 浩一
1968年、東京生まれ。歌人。97年、短歌集『てのりくじら』でデビュー。『ショートソング』で長編小説にも進出

【感想】

本作の題材は、その「ショートソング」という名の通り「短歌」です。

この物語は容姿はいいけれども「ダサイ」男がひょんなことから短歌の会に参加することから始まります。彼はそれから歌をつくりはじめ非凡な才能をいかんなく発揮していくのです。そんな様子を何人かの歌人と共に描いているという物語です。

そんなストーリーに終始するのだが、終わりかたは少し不満が残りました。

それにしても、歌壇の世界はこんなにも厳しいのかと驚きました。競争率ではなく、一般の注目度が低いという点です。歌集のほとんどが自費出版(費用百数十万円)で、それゆえ部数も少なく知人が見る程度だというのです。小説の中のことなので、嘘があるかもしれませんが、何とも悲しい事態です。

かくいう僕も、短歌といえば国語の教科書でしか見ないものです。主人公は短歌に関してはまったくの素人なので、興味がある人は主人公と共に短歌にふれあえる一冊となっています。

漫画の「ヒカルの碁」のようにほぼ雰囲気だけのものではなく(とは言っても囲碁を覚えると様々な盤面の形成が分かったりしてお得な気分にはなれます。)、実際につくられた歌が挿入されているので、それだけを見ても楽しめるでしょう。

それにしても、この作品に登場する女性たちはいろいろと積極的すぎですね。そんなに「天才歌人」に魅力があるのでしょうか。

・気に入った短歌 「書くことで落ちこんだなら書くことで立ちなおるしかないんじゃないか?」
・好きな登場人物 国友克夫

・形式

小説、長篇、短歌

・あらすじ

ハーフの美男子なのに内気で、いまだチェリーボーイの大学生、克夫。憧れの先輩、舞子にデートに誘われたが、連れていかれたのはなんと短歌の会!?しかも舞子のそばには、メガネの似合うプレイボーイ、天才歌人の伊賀がいた。そして、彼らの騒々しい日々が始まった―。カフェの街、吉祥寺を舞台に、克夫と伊賀、2つの視点で描かれる青春ストーリー。人気歌人による初の長編小説。

・収録話数

全100話

・初出

ケータイ livedoor小説、2005年12月26日~2006年2月8日

ケータイ雑誌 the 読書、2006年5月1日~2006年8月24日

・読了日

2008年1月31日

・読了媒体

ショートソング (集英社文庫)