『有頂天家族』森見登美彦の感想

小説

『有頂天家族』 森見登美彦著/幻冬舎

【内容】

第20回山本周五郎賞受賞第一作!著者が「今まで一番書きたかった作品」と語る渾身の作。偉大なる父の死、海よりも深い母の愛情、おちぶれた四兄弟……でも主人公は狸?!

時は現代。下鴨神社糺ノ森には平安時代から続く狸の一族が暮らしていた。今は亡き父の威光消えゆくなか、下鴨四兄弟はある時は「腐れ大学生」、ある時は「虎」にと様々に化け、京都の街を縦横無尽に駆けめぐり、一族の誇りを保とうとしている。敵対する夷川家、半人間・半天狗の「弁天」、すっかり落ちぶれて出町柳に逼塞している天狗「赤玉先生」――。多様なキャラクターたちも魅力の、奇想天外そして時に切ない壮大な青春ファンタジー。

【著者紹介】

森見 登美彦
1979奈良県生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院修士課程修了。在学中の2003年に「太陽の塔」で第十五回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。「夜は短し歩けよ乙女」では第二十回山本周五郎賞を受賞

【感想】

傑作です。

登場人物とは言えないかも知れませんがは、狸と天狗と人間です。人間が少ないです。

狸の四兄弟の長兄は意外とあわてんぼうであり、次兄はひきこもり。日々、京都の町を闊歩する三男(主人公)、その弟である四男は、化けている最中にふとしたことからしっぽを出してしまうような未熟者です。

他にも、四字熟語を愛用する(こちらも)兄弟や、三男の元許嫁でありながら、けっして姿を見せようとしないその妹など魅力的な存在は数多いです。

飛べない天狗と、飛べる美女も登場します。

選挙を戦ったり、狸鍋がでできたり、とんでもない大騒動を繰り広げるたりする「本当」にとんでもない話なのです。ですが、個性的な登場人物と森見の独特な言いまわしのおかげで、その不可思議ながらも微笑ましい本作の世界が引き立てられています。

「夜は短し歩けよ乙女」を読んで、こんなに面白い作品を読んだ後に、この著者の別の作品を本心から楽しめるか不安もあったのですが、どうやら杞憂だったようです。

最新の本屋大賞にノミネートされており、伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」や、桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」などとの激戦が予想されますが、本作の上位は確実でしょう。(個人的には伊坂幸太郎に受賞してもらいたいのですが、「ゴールデンスランバー」よりは本作のほうが楽しめたというのが率直な感想です。)

続編があるということで、そちらも期待大です!

・気に入った台詞「樋口一葉というのは、雨樋の端に濡れた枯葉が一枚ひっかかっているということさ。秋の淋しさを表した四文字熟語だ。」
・好きな登場人物 下鴨矢一郎(長兄)

・形式

小説、長篇

・あらすじ

千年の都・京都。ここでは古来より、人に化けた狸と天狗が、人間社会に紛れて暮らしていた。糺ノ森に住む狸の名門・下鴨家の父であり、狸界の頭領「偽右衛門」でもあった総一郎は、ある年の瀬に人間達に狸鍋にされ、帰らぬ狸となってしまった。
遺された「下鴨四兄弟」の三男で「面白く生きる」がモットーの矢三郎は、天狗の赤玉先生の世話をしつつ弁天の美しさに魅かれ、夷川家の金閣・銀閣と張り合うなど退屈する暇もない。長男・矢一郎は次期「偽右衛門」を目指す。しかし下鴨家は、父を狸鍋にした金曜倶楽部に狙われる。
父の死に秘められた真実が明らかになり、下鴨家の逆転劇が始まる。

・収録話数

第一章 納涼床の女神

第二章 母と雷神様

第三章 大文字納涼船合戦

第四章 金曜倶楽部

第五章 父の発つ日

第六章 夷川早雲の暗躍

第七章 有頂天家族

解説 上田誠(ヨーロッパ企画)

・初出

・受賞歴、ランキング

第5回2008年本屋大賞 第3位

・読了日

2008年1月23日

・読了媒体

有頂天家族(幻冬舎)

・感想メモ

傑作です。

登場人物とは言えないかも知れませんがは、狸と天狗と人間です。人間が少ないです。

狸の四兄弟の長兄は意外とあわてんぼうであり、次兄はひきこもり。日々、京都の町を闊歩する三男(主人公)、その弟である四男は、化けている最中にふとしたことからしっぽを出してしまうような未熟者です。

他にも、四字熟語を愛用する(こちらも)兄弟や、三男の元許嫁でありながら、けっして姿を見せようとしないその妹など魅力的な存在は数多いです。

飛べない天狗と、飛べる美女も登場します。

選挙を戦ったり、狸鍋がでできたり、とんでもない大騒動を繰り広げるたりする「本当」にとんでもない話なのです。ですが、個性的な登場人物と森見の独特な言いまわしのおかげで、その不可思議ながらも微笑ましい本作の世界が引き立てられています。

「夜は短し歩けよ乙女」を読んで、こんなに面白い作品を読んだ後に、この著者の別の作品を本心から楽しめるか不安もあったのですが、どうやら杞憂だったようです。

最新の本屋大賞にノミネートされており、伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」や、桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」などとの激戦が予想されますが、本作の上位は確実でしょう。(個人的には伊坂幸太郎に受賞してもらいたいのですが、「ゴールデンスランバー」よりは本作のほうが楽しめたというのが率直な感想です。)

続編があるということで、そちらも期待大です!(2008.02.05)

当年の本屋大賞の第1位が伊坂幸太郎のゴールデンスランバーに決まり大喜びをしたことをよく覚えているのだが笑(2017.10.18)

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