・形式


小説、連作短篇、ユーモア


 



・あらすじ


第四回大藪春彦賞受賞、「このミステリーがすごい! 」で『模倣犯』に次ぐ二位。注目を集める著者の、待望の刊行です。精神科医・伊良部一郎。彼のもとを訪れる悩める者たちは、誰もが驚き呆れる。「どっちが患者なのか?」。水泳中毒、ケータイ中毒、慢性勃起症状……、患者たちは稚気溢れる伊良部の姿に、己の深刻なる悩みがバカらしくなり、やがて・・・・・・現代世相の病理を、コミカルかつ軽妙な筆致で描き出した怪作。



「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。


 



・収録話数


イン・ザ・プール


勃ちっ放し


コンパニオン


フレンズ


いてもたっても


 


 


・初出


イン・ザ・プール オール讀物、2000年8月号


勃ちっ放し    オール讀物、2001年8月号


コンパニオン   オール讀物、2001年11月号


フレンズ     別冊文藝春秋、2002年1月号


いてもたっても  オール讀物、2002年3月号


 



・刊行情報


イン・ザ・プール(文藝春秋)


2002年5月


 


イン・ザ・プール(文春文庫)


2006年3月


 


 


・受賞歴、ランキング


第127回直木三十五賞候補(オール讀物、2002年9月号)


黒岩重吾×


「半ばあたりから飽きてきた。面白いが虚しさが残る。」


 


林真理子×


「けれど今回の作品は少々弱かった。前作の方がはるかに面白い。」


 


津本陽△  


「小説としては楽しめた。もっと書きこんだら、様変りして重みが出てくるかも知れないと思わされた。」


 


渡辺淳一×


「作者の意図が見えすぎて、いささかあざとすぎる。「勃ちっ放し」などはとくにおふざけをこして下司で、この種のことを書くときはもう少し勉強して、真摯に書くべきだろう。」


 


阿刀田高×


「読者の笑いを取ることに傾斜し、現代の病理をえぐる鋭さが薄れた、ということだろうか。それをことさらに言うのは野暮であり、この作品を好編とする他の委員の意見にも納得できるところがあったけれど、やはり今回は見送りのほうへ傾いた。」


 


田辺聖子○  


「カルチャーショックという上品なものでも諷刺小説というでもなく、とても巧い落語みたい、ただこの落語のオチはつけにくく、そこがまたいい、というところ。」


 


宮城谷昌光◎  


「これほどの才能が受賞という光を浴びなかったのは、解せず、私は廓如とした気分になった。」


 


五木寛之△  


「才能のある書き手だと思う。」


 


北方謙三△


「伊良部は一作ごとに存在感を増し、途中から主人公という感じになる。ただ、いつまでも同調装置であり、伊良部の持つ、心を打つほどの偏執性の描写が、不足しているとしか思えなかった。」


 


平岩弓枝○  


「軽く書いているようにみせて、実は重いテーマを洒落た切りくちで読ませてくれた。直木賞にふさわしくないという意見もあったが、私はこういう作品が直木賞になってもよいと思っている。」


 


井上ひさし◎  


「診る者と診られる者の逆転が、毎回、大量の笑いと良質の社会風刺を生む。じつに上等な滑稽小説で、この連作集を一番に推した。」


 


 


・読了日


不明


 



・読了媒体


イン・ザ・プール(文春文庫)


 



・感想メモ


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