本の情報ブログ 火の秋のモノガタリ

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白い街の夜たち /市川ラク

・形式

漫画、長編、服飾、学生、トルコ、バイト、飲食店、ベリーダンス

 


・あらすじ

期待の新鋭、初長編。エキゾチックでミステリアスなトルコに魅せられた青春譜、開幕。

 

自分の居場所を見つけられない専門学校生の文子が、偶然知ったのは、世界三大料理のひとつであるトルコ料理、ミステリアスな世界最古の舞踏ベリーダンスなど、魅惑の国トルコの文化!
これって、運命の出逢い…かも。
気鋭の女流が挑む初の長編連載は、エキゾチックで旨味横溢な、青春成長ストーリー。

 

 

・収録話数

第22話

 

 

・初出

月刊コミックビーム、2013年9月号~2015年6月号

 

 

・刊行情報

ビームコミックス、全3巻

白い街の夜たち 1(2014.07.07)

白い街の夜たち 2(2014.10.06)

白い街の夜たち 3(2015.07.07)

 

 

・読了日

2018年4月7日

 


・読了媒体

ビームコミックス

 

 

・感想メモ

読みながら、「この漫画のテーマはどこにあるんだろう?」ということをずっと考えていた。単純なトルコ漫画というわけではなさそうだった。作中でトルコの文化や料理が複数登場し、様々な人によって語られるがどうも脇役なようだ。

 

 

本作は主人公の文子がトルコ料理屋に「監禁」されるところから始まる。その後文子は半ば店主のホジャとダンサーのざくろに押し切られるように、料理店でのバイトを始める。料理店で出される料理は、名前の聞きなれない料理ばかり。それは飲み物やデザートに至るまで同じだ。文子はそんな料理やざくろの踊るベリーダンスからトルコへの関心を深めていく。

 

 

そんな主人公文子と同じように読者の目を引くのは聞き慣れないトルコの単語と文化だ。実際序盤は異文化への興味関心から読み進めていく読者が多いだろう。

 

 

しかし、文子の周りの人たち、学校の同級生利伊沙や、旧友の雪ちゃんが登場するころになると物語に不穏な空気が漂ってくる。これは単なるトルコの料理や文化を紹介する漫画ではないという予感がしてくるのだ。

 

 

※以下ネタバレ注意

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気になったのは、最初に書いたテーマということだった。物語は文子がトルコへと旅立つところで終わる。それ自体はとても素敵な終わり方だ。はっきりとしない性格の主人公が一つの選択をしたということなのだから。

 

 

その過程で文子がトルコやイスラム教、文化への関心を深めていくのだが、短い話数の中で、それら紹介やエピソードが複数挿入されたのはなかなか難しいところだった。文子の話も描き、ざくろの話も描き、トルコやイスラムの紹介もありとなると、終盤が駆け足気味になってしまった印象があった。

 

 

序盤で学校に行くことをめんどくさがっていた彼女が、積極的に課題に取り組み、言葉の通じない国に行って服飾の仕事に就こうと決心するまでにどのような思いがあったのかもう少し読みたかった。

 

 

過去のしがらみや悩みの象徴とも言える雪ちゃんとのシーンに主人公の成長が集約されているのだろうか?しかしとにかく彼女は一歩を踏み出した。その意味で本作はトルコ料理屋漫画ではなく、成長物語なのは間違いない。(2018.04.07)