本の情報ブログ 火の秋のモノガタリ

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悪い仲間 /安岡章太郎

・形式

小説、短篇

 


・あらすじ

初期作品世界デビュー作「ガラスの靴」芥川賞受賞「悪い仲間」「陰気な愉しみ」他、安岡文字一つの到達点「海辺の光景」への源流・自己形成の原点をしなやかに示す初期短篇集。幼少からの孤立感、“悪い仲間”との交遊、“やましさ”の自覚、父母との“関係”のまぎらわしさ、そして脊椎カリエス。様々な難問のさなかに居ながら、軽妙に立ち上る存在感。精妙な“文体”によって捉えられた、しなやかな魂の世界。


幼少からの孤立感、“悪い仲間”との交遊、“やましさ”の自覚、父母との“関係”のまぎらわしさ、そして脊椎カリエス。様々な難問のさなかに居ながら、軽妙に立ち上る存在感。精妙な“文体”によって捉えられた、しなやかな魂の世界。出世作「ガラスの靴」をはじめ、芥川賞受賞「悪い仲間」「陰気な愉しみ」ほか初期名品集。

 


・収録話数

 


・初出

群像、1953年6月号

 


・刊行情報

 

 
・受賞歴、ランキング

第29回芥川龍之介賞(文藝春秋、1953年9月号)

  

丹羽文雄〇

 「「悪い仲間」より「陰気な愉しみ」の方を、私はとる。このひとの受賞は妥当であった。戦後にあらわれた作家のなかで、私にはこのひとほど才能のゆたかな、ユニークな作家を知らない。こういう作風はえてして借りものが多いのだが、このひとのは素質だ。」

 

宇野浩二△

「私はこの二つの作品にも頸をひねるのである、簡単に云うと、『陰気な愉しみ』は、すっと読めるが、たよりなさ過ぎ、『悪い仲間』は、『愛玩』よりずっと落ちる上に、趣向は面白いけれど、荷が勝ち過ぎているように思われるのが気になるからである。しかし、又大冒険をした藤井がミソとニボシを買ってくるところなどを読むと、なかなか味をやる人だ、と思った、そうして、こういう『味』はこの人独得のものである。」


石川達三×

「安岡君の二つの作品は特に問題にはなるまいと思っていた。それが当選ときまったのは意外であった。」


佐藤春夫◎

「「陰気な愉しみ」はあまりに断片的な小品ではないか、これに比べて「悪い仲間」の方にはたくましく大きな、というよりは太々しく投げ出したような面白さのうちに一種立体派的のスタイルもあり、短篇ながらよく圧搾されて膨脹率の多いもので「陰気な愉しみ」とは到底同日の談ではない。」


岸田國士△
「「悪い仲間」と「陰気な愉しみ」は、いずれも稀にみるすぐれた才能を示した短篇小説だが、これだけとしては出来栄えにやや物足りないところがある。しかし、この作者は、もっといいものの書ける人だ。」


瀧井孝作〇

「安岡章太郎氏の短篇は、前にいくつか佳いのを読んだ。こんどの二つも悪くない。それで、こんどこの人が当選することには、賛成した。」


舟橋聖一△

「「悪い仲間」という作品は、一応、面白く読んだ。」


坂口安吾〇 
「「陰気な愉しみ」と「悪い仲間」は氏の作品のうちで出色のものとは思わないが(過去にもっと傑れたのが二三あった)この作家はいかにも芥川賞の作品でございというような物々しい大作には縁遠い人なのだから、このような独特な作家の場合は一作について云々すべきではない。」


川端康成〇

「授賞には賛成である。しかし、今回の「悪い仲間」「陰気な愉しみ」よりは、前回の「愛玩」の方が、作品としてよほどすぐれていたと、私は考える。」

 


・読了日

2016年10月12日

 


・読了媒体

群像、2016年10月号

 


・感想メモ

若い。とにかく若くて、青い。主人公は久しぶりに会った友人から「飼葉の枯れ草みたいな甘いにおい」を嗅ぎ取る。でも僕はこの短編全体からそういったにおいを嗅ぎ取った。僕は高麗彦の真似をする主人公より、従姉をからかう主人公のほうが好きだ。(2016.10.12)