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ルサンチマン /花沢健吾

・形式

漫画、長編、VR、仮想現実

 


・あらすじ

2015年の東京が舞台。坂本拓郎(通称たくろー)はウオト印刷という零細印刷所に勤める独身、デブ、ハゲ進行気味のさえない男、ボーナス後のソープが楽しみの素人童貞。30歳の誕生日に旧知の友人3人と飲んだ際に、自分以上にさえない男であるはずの越後大作に、女にもててしょうがない上に仕事まで辞めたという話を聞かされる。

 

しかしそれはいわゆるギャルゲーの世界であると聞き、いったんはたくろーは呆れる。しかし飲み会の後、越後のアパートでやらせてもらった最新式のギャルゲーは、たくろーの想像を上回る高度なAIキャラクターとバーチャルリアリティプログラムにより構成された現実感(ある意味究極の非現実感)あふれるものだった。

 

完全な現実逃避とあきれつつ、うらやましく思ったたくろーは、ギャルゲーを楽しむためのパソコン一式を貯金をはたいて購入し、自分も仮想現実の世界を楽しもうとする。仮想現実世界での恋人を作るにはその人格AIをプログラミングしたソフトを購入する必要がある。たくろーはAIソフト売り場で偶然陳列棚の下に埋もれていた「TUKIKO(月子)」というソフトを購入する。喜び勇んで月子との仮想現実での生活を楽しもうとするたくろー、しかしプレイをしていくうちにそのAIソフト「月子」は普通のAIソフトとは違うことに気づいていく。

 

明らかになっていく月子の正体、話の進展に伴い、仮想現実世界(アンリアル)は現実世界を巻き込んでいく。

 


・収録話数 

全49話

 


・初出

ビッグコミックスピリッツ、2004年3号~2005年12号

 


・刊行情報

ビッグコミックス、全4巻

ルサンチマン 1(2004.05.28)

ルサンチマン 2(2004.07.30)

ルサンチマン 3(2004.11.30)

ルサンチマン 4(2005.03.30)

 

新装版

ルサンチマン 上(2012.11.04)

ルサンチマン 下(2012.12.05) 

 

 

・感想メモ

花沢健吾の漫画を読んでいるとどこかツラいけれど、今作「ルサンチマン」もやっぱりツラい。デビュー作ということもあってか、冴えないオッサンの描写が心に突き刺さる。次作の「ボーイズ・オン・ザ・ラン」もその後の「アイアムアヒーロー」も冴えない男のストーリーが悲しかった。その中でも「ルサンチマン」の冴えないおっさんは目を背けたくなる。でも「ルサンチマン」はそのオブラートに包んでない描写が魅力なのだ。

 

 

最初に読んだときは「なんだかおっさんのリアルな描写がツラいな」と思いつつも先が気になり読んでいった。ハッピーエンドを期待しつつ。読み終わってみて、これはハッピーエンドなのかなと思いながらも、ラストの解釈を考えるために、もう一度読み返すのはなんだか手が進まない。そんな感じなのだ。

 

 

冴えないおっさんのリアルな描写は正直言って苦手だ。浅野いにおや押見修造でも感じたような嫌悪感はある。でも登場人物たちの不器用さ、生き方のヘタな感じは全然嫌いじゃない。その登場人物たちが気になり、次の巻も読んでみようかな、新作も読んでみようかなで気が付いたら何作も読んでいたりするのがあるのが花沢健吾だ。「花沢健吾らしさ」というものがあるとすれば、それが一番出ているのはデビュー作である「ルサンチマン」であると思う。(2018.01.26)