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瓜子姫の夜・シンデレラの朝 /諸星大二郎

・形式

漫画、短編集、民話、童話、おとぎ話

 


・あらすじ

古今東西の童話や民話を
諸星大二郎流にアレンジした
魅惑的なブラック・メルヘン。
平成25年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞の傑作が文庫化。
「瓜子姫とアマンジャク」、
「シンデレラの沓」、
「見るなの座敷」、
「悪魔の煤けた相棒」、
「竹青」の5編を収録。

 


・収録話数

全5編

あとがき

 


・初出

瓜子姫とアマンジャク  ネムキ、2012年7月号、9月号、11月号

シンデレラの沓     ネムキ、2009年7月号

見るなの座敷      ネムキ、2012年3月号

悪魔の煤けた相棒    ネムキ、2011年7月号

竹青          Nemuki+、2013年5月号、7月号、9月号

 


・刊行情報

瓜子姫の夜・シンデレラの朝(Nemuki+コミックス)

2013年12月30日

 

瓜子姫の夜・シンデレラの朝(朝日コミック文庫)

2016年1月

 


・受賞歴、ランキング

第64回芸術選奨文部科学大臣賞

 


・読了日

2017年12月25日

 


・読了媒体

瓜子姫の夜・シンデレラの朝(Nemuki+コミックス)

 


・感想メモ(内容についての記述有り)

本作は日本民話から「瓜子姫とアマンジャク」「見るなの座敷」、西洋から「シンデレラの沓」「悪魔の煤けた相棒」、そして中国から「竹青」の5編を集めた短編集だ。

 

 

作者ならではの作品集だが、どうしても長編に比べると少しあっさりとした印象を受ける。もちろん長編作品が大長編作品だからなのだが。そりゃあ「西遊妖猿伝」のような圧倒的な没入感はない。しかしその中でも「瓜子姫とアマンジャク」の文学性「竹青」の物語性が印象に残った。

 

 

「瓜子姫とアマンジャク」は託宣を行う巫女と山奥のもののけや精霊たちの話だ。神たちの言葉を人間たちに届ける巫女は、成長したことによって神から言葉を受けとることができなくなっている。彼女はもののけたちの言葉を聞き、託宣を続けていくが、巫女にまつわる悲劇的な宿命に縛られ続けている。

 

 

巫女はラスト、そんな宿命や生活から逃れるように当てのない行動に出る。台詞がなく、一人きりになった彼女の表情を描いているラストページはとても文学的だ。この後巫女はどうなるのか?目的を果たすことはできるのか?彼女の表情はその答えを示しているような気がしてならない。

 

 

それと反対に「竹青」はその物語性が強調される。中国で魚容という名の貧書生が科挙に落第し、カラスになるという物語だ。太宰の小説だったか、漢文の時間に聊斎志異を読んだのかもう覚えてはいないけれど、僕はこの話を以前に読んだことがあった。しかしそれらモデルの話に、この諸星大二郎版とも言うべき漫画作品ほどのドラマ性も緊張感もない。

 

 

物語は竹青という女性との出会いから始まる。その竹青が遭遇した事件の話を聞いた魚容は事件の真相を探り始める。そんな話が舞台を変えながら、あるいはカラスと人間に変身しながら語られる。「竹青」の物語はだれることなく進行していき、見事なクライマックスを迎えるのだ。

 

 

どこかがちょっとずれたような可笑しい話と本気の民話テイストの作品。その両方が楽しめる。諸星大二郎ならではの優れた短編集だった。

(2017.12.25)