・形式


漫画、連作短編、ボーイ・ミーツ・ガール、SF


 



・あらすじ


異国風の彫りの深い顔立ち。すんなりと伸びきった肢体。ジーンズにナップ・サック。ながい髪、おおきな瞳、そしてわずかなそばかす―。彼女はエマノン、ぼくが出会った不思議な少女。彼女は言った、「私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ」と。彼女の口から紡ぎだされる、母から娘へと伝えられたさまざまな『地球』のおもいでたち。表題作から、初収録の最新作までをおさめたピュアSF連作。「この作品の絵は、他の人に渡したくなかった」という鶴田謙二がイラストを担当。


 



・収録話数


おもいでエマノン 


 1967年2月24日午後


 午後5時50分


 午後6時03分


 午後7時前


 午後8時頃


 夜、午後9時か10時頃、そして…


エマノンのおもいで


エマノンのさすらい


あとがき


 



・初出


おもいでエマノン、エマノンのさすらい


COMICリュウ、2006年11月号~2007年4月号、6月号~9月号、11月号~2008年3月号


 


エマノンのおもいで


SF Japan、2002年春季号


 



・刊行情報


おもいでエマノン(リュウコミックススペシャル)


2008年7月1日


 



・原作者


梶尾真治


 


 


・読了日


2014年1月3日


2017年12月16日


 



・読了媒体


おもいでエマノン(リュウコミックススペシャル)


 



・感想メモ


正直言って初めて読んだときにはあまり良さが分からなかったりもした。世界観を上手く捉えきれていなかったのだと思う。そのため本作のSF要素に抵抗を感じたのだ。最終盤の駅の場面で「なんだ、これは」と思ったのかもしれない。


 


 


それでも美麗な絵はとても気に入って本は処分したりはせずにとっておいた。なんて言ったってエマノンの表情が良い。笑っている顔、戸惑っている顔、昔を思い出している顔、どれも魅力的だ。あとはエマノンの履いているGパンのライン。というかエマノンの体のラインか。


 


 


時間を空けて読み返してみると、作中に漂っている物悲しさに囚われていることに気付く。一晩だけの交流を描いたボーイ・ミーツ・ガールとして読んでも魅力的な本作だが、その背景に「時間」という絶対的な要素が潜んでいることに気が付くと、やりきれない感情が襲ってくる。


 


 


考えてみれば同じ時間軸を過ごしている僕らでも、少し会わなくなったり、疎遠になったりしてしまうと、その「時間」はずれて行ってしまうものだ。「私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ」と語るエマノンはそんな「取り返しのつかない時間」を僕らに教えてくれているような気がする。


 


 


本作はそんな「時間」を持っている人の記憶を的確に掘り起こしてくる。だから読後感は苦いものかもしれない。しかしエマノンはそんな人たちの姿を見ながら歩き続ける。煙草を吸いながら。


(2017.12.16)