本の情報ブログ 火の秋のモノガタリ

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橋をめぐる いつかのきみへ、いつかのぼくへ /橋本紡

・形式

 小説、連作短篇

 


・あらすじ

広告会社に勤めるOL、友香。父と和解はできるのか『清洲橋』、銀座でならしたバーテンダー、耕平。深川で自分の店を持つが『亥之堀橋』、進学校の秀才と不良少年の再会『大富橋』、バツイチの佳子は英会話教室の生徒との逢瀬をやめられない『八幡橋』、新居探しで足を棒にする美穂と哲也のカップル『まつぼっくり橋』、世田谷から来た千恵と、祖父エンジとの交流の物語『永代橋』。水の都・深川を舞台に描く六つの人生。

 


・収録話数

清洲橋

亥之堀橋

大富橋

八幡橋

まつぼっくり橋

永代橋

 


・初出

 


・刊行情報

橋をめぐる いつかのきみへ、いつかのぼくへ(文藝春秋)

2008年11月

 


・読了日

2009年1月7日 

 


・読了媒体

 橋をめぐる いつかのきみへ、いつかのぼくへ(文藝春秋)

 


・感想メモ

作者のブログを覗いていると、近況報告や普段されている料理の画像などがアップされていて、それだけでも楽しいのですが、なにより本人の文学に対するひたむきな情熱が感じられてファンとしては嬉しい限りです。

 


それによれば、著者は最近小説の技術の向上に努めているらしく、文体を変えたり、様々な境遇の人物を主人公に置いているとのこと。その影響か、最近の著作である、『月光スイッチ』や『彩乃ちゃんのお告げ』、『九つの、物語』は彼の作風である、温かい雰囲気が作品中に溢れてはいるものの、どこかそれ以前の作品に比べると、大人しい話でした。

 


以前もそうだったといえばそうだったのですが、話の中での盛り上がりがより弱くなってしまっているような気がしました。

 


ところが、今回読んだ「橋をめぐる いつかのきみへ、いつかのぼくへ」はずっとよかったです。

 

 


本作のテーマは、作者の作品に共通しているテーマである、「再生」とそれに伴う「成長」であると思われます。人が死んだり、または人間の真理を追求しているような壮大な作品ではありません。

 


ですが、実際の私たちの生活に即している、この物語で語られていることは、実にその人の人生にいて重要な転換点を示しています。

 


普段、自分がしていること。社交辞令で言ってしまう言葉。そんなことを思ってもいないのに口から出てしまう言葉というものが非常に多いものです。もしくは態度、上手くかみ合わない新旧の住民達。深川という、どこか下町を思わせる町でこの物語は進行していきます。

 


作品の完成度、幅広い年齢層に受け入れられるものとして本作は存在しているようにも思えます。本作は主人公の年齢がばらけています。十歳の小学校五年生の女の子から、五十歳を超える男性まで様々です。

 

 

本作は様々な年齢の人物を主人公とすることに成功しています。とすれば様々な年代の人がこの本を評価してもよいはずなのです。(2009.01.07)