・形式


 小説、長篇


 



・あらすじ


 鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生"と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇。それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。 


 



・収録話数


上 先生と私


中 両親と私


下 先生と遺書


 



・初出


朝日新聞、1914年4月20日~8月11日(心 先生の遺書)


 



・刊行情報


こゝろ(岩波書店)


1914年9月


 



・読了日


2009年1月2日


 



・読了媒体


 こころ(新潮文庫)


 



・感想メモ


正月休みを利用して、ようやくこの本を読むことができました。高校の現代文の教科書に、載っていたんですが、読もう読もうと思っている間に時間がかなり過ぎてしまっていました。


 



教科書に載っていたのは、下「先生と遺書」の後半部分だったと記憶しています。ここはとても気になるところであり、かつ衝撃的な場面で、短編でない「こゝろ」を載せるための場面としては十人が十人ここを選ぶと思われるほどです。


 



しかし、それまで読んだことの無かった私としては、興味がわくと同時に、結末を知ってしまうことになりました。


 


Kの意味とその表記のしかた



さて、登場人物、作品の主題にも大きくかかわってくるのが、下「先生と遺書」に登場するkです。



kとはどんな意味なんでしょうか?



参考になる文献や、そこまでいかないにしても、インターネット中を探れば様々な答えが出てきそうです。



まず考えられるのは、単純にイニシャルであることです。頭がカ行の名字はざらにありますし。



他の意見としては、私の友人はナイフ(knife)の頭文字ではないか、などと言うものもいて興味深かったです。中には殺すという意味のKillや自殺を意味するKill oneselfではないかとさえ言う人もいました。



カフカの「変身」におけるKがカフカ(Kafka)の頭文字だということを考えれば、漱石の本名、金之助(Kinnosuke)の頭文字かも知れません。


 


そういや、障子に穴があいてることはあっても襖にそういうことはないですね



高校の現代文のノートを出してきてみてみると、先生とkの部屋の間を仕切る襖が重要なキーワードであると書かれています。


 



部屋を仕切るものとしては、硝子戸、壁、襖、障子が考えられます。


 



硝子戸は隣の部屋の様子は筒抜けです。いくら同郷とはいえ、よほど仲の良いものでないと暮らしにくいかも知れません。そして実際に間を仕切っているのは硝子戸ではありません。しかし壁でもないんです。


 



ノートには、「相手の様子を推量できないが、『自分側の意志』によって『開ける』ことができる」とあります。(2009.01.06)