本の情報ブログ 火の秋のモノガタリ

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移り気本気 /近藤ようこ

・形式

漫画、連作短編集、サラリーマン、OL、主婦、生活、日常

 


・あらすじ

「孤独」は果たして「不仕合せ」なことなのか…。 誰もが物語の主人公になれることをロンド形式手法で表現し、それぞれの主人公の関係を保ちながら、その人間関係にふりかかる様々な問題をテーマに、平坦な日常を複雑な心を抱えて生き抜く人々を11話で描いた中編作品。仕合せを願う穏やかな感情が心地よく胸に響いてくる、近藤ようこの傑作、遂に復刊!

 


・収録話数

第一話~第十一話

 


・初出

BIG COMIC for Lady、1989年4月号~1990年12月号

 


・刊行情報

移り気本気(新潮社)

1991年4月20日

 

移り気本気(青林工藝舎)

2005年2月25日

 

 

・読了日

2017年12月28日

 


・読了媒体

移り気本気(青林工藝舎)

 


・感想メモ

近藤ようこには日常生活の中の些細なエピソードを描いた作品と、民話を描いた作品があるが、どちらかと言えば僕は日常生活を描いたものが好きだ。そちらの方がほんの些細なエピソード、人によっては見過ごされてしまうかもしれないような細かい出来事が、作者の優しい視線によって浮き上がってくるように思われるからである。それら作品自体は悪く言ってしまえば地味で独創的な設定などはまずない。それでもところどころに仕込まれた言葉や表情にハッとさせられてしまうのだ。これはなかなか勇気のいる作品のつくり方だ。

 

 

本作では登場人物が繋がっており、前の話の脇役が次の話での主役になっている。彼らの人生の一場面が温かく、静かに描かれていく。サラリーマン、主婦、OLなど平凡な市井の登場人物たちのあいだをバトンが渡されていくように横断して話は進み、終わる。

 


1人の登場人物から別の登場人物へと繋がっていくなかで人間の機微を描いたこの作品には、ところどころに鋭く心に迫る言葉が仕込んである。特に最終話のラストのコマの一文は圧倒的な存在感がある。ここに書いてしまっては申し訳ないので割愛するがぜひ本で読んでほしい。「ビッグコミックforLady」に連載された作品だが、発表から約三十年経った今なら男性でもなにか感じるものがあるだろう。(2017.12.28)