・形式


小説、長篇、罪、罰


 



・あらすじ


「書き終えるまで決めていたのはただ一つ、<逃げない>ということ。――私の自信作です」――辻村深月


 


ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。


 



・収録話数


 



・初出


 



・刊行情報


ぼくのメジャースプーン(講談社ノベルス)


 


ぼくのメジャースプーン(講談社文庫)


2009年4月15日


 


 


・受賞歴、ランキング


 第60回日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門候補


 



・読了日


2009年7月31日


 



・読了媒体


 ぼくのメジャースプーン(講談社文庫)


 



・感想メモ


主人公の「ぼく」とふみちゃんは学校の友達です。ふみちゃんは学校でうさぎの世話をしていますが、ある日大学生によるうさぎの殺傷事件が発生。ふみちゃんは心を閉ざします。そこで「ぼく」は自身のもつ力で犯人に対抗しようとします。


 


 


この力が本作の核です。その能力とは、相手に条件付きで言うことを聞かせられるかも知れないというものです。たとえば、「○○してください、さもなければ××することになります」というもの。××のところに「死ぬ」とか「目が見えなくなる」とかをいれてしまえば、○○のところのことを聞かせられると言うあぶない力です。チャンスは1人に一回だけ、そのため同じ力を持つ先生と議論をしながら、犯人に言う一言を決めていきます。


 



この本なかなか深い本で、500pを超える長編なんですが厚さをあまり感じることなく読み終わることができました。悪意、反省、あるいは罰。裁判員裁判が開始されたこの時期にこの本を読めたことはとても良かったと思います。


 


 


相手に重い障害を与えることもできますし、まともな生活ができなくなるようにすることもできます。その一方で、そんなに重い罰を与えようと思わなければ、少しだけ懲らしめることもできます。この問題に対して、小学生であり被害者の友達である「ぼく」、同じく能力者であり、教育学部の教授でもある「先生」、2人の異なる立場からの意見が非常に興味深いです。


 


 


長さ、意見の応酬のバランスもよく良作でした。(2009.08.13)