本の情報ブログ 火の秋のモノガタリ

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スカイ・クロラ The Sky Crawlers /森博嗣

・形式

 小説、長篇、戦争

 


・あらすじ

戦闘機乗りの僕には、戦闘が日常。直接ではないけれど、人を殺す。人を撃ったその手でその日、ハンバーガを食べ、ボウリングもするのも日常……森博嗣が新天地に挑んだ意欲作!


僕は戦闘機のパイロット。飛行機に乗るのが日常、人を殺すのが仕事。二人の人間を殺した手でボウリングもすれば、ハンバーガも食べる。戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供。戦争を仕事に永遠を生きる子供たちの寓話。

 


・収録話数

 


・初出

 


・刊行情報

スカイ・クロラ(中央公論新社)

2001年6月1日

 

スカイ・クロラ(C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

2002年10月

 

スカイ・クロラ(中公文庫)

2004年10月1日

 


・読了日

2009年2月20日

 


・読了媒体

スカイ・クロラ(C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

スカイ・クロラ(中公文庫)

 


・感想メモ

作風は、村上春樹の初期三部作の雰囲気に似ている気がします。どこか諦めが前提としてあるような。ときおり挟まれる詩的な文章が拍車を掛けています。

 


主人公が、少年であることも関係していると思います。個人的に主人公が少年少女の作品は読みやすいし共感しやすいと思っています。彼らの年代は僕らはみんな通ってきますし、どこか理解できる。(それでいて決定的に理解できないところがあるというのも魅力的なんですが。)

 


でもこの作品はかなり渇いています。渇きすぎているかも知れません。

 


この作品で、主人公達が少年であることは特筆されません。つまり作中の世界においては当然のことなので、わざわざ語るまでもないということなんでしょうし、これから語られることなんでしょう。

 

巻頭の言葉。

戦争を知らない大人たちに捧げよう。
彼らの過ちは、三つある。
子供たちが自分たちから生まれたと信じている。
子供たちより多くを知っていると思い込んでいる。
子供たちがいずれ自分たちと同じものになると願っている。
それら妄想の馬鹿馬鹿しさといったら、
戦争よりも悲惨なのだから。


今読んでいる、村上春樹の「羊をめぐる冒険」にこんなやりとりがあります。僕が町に帰って、ジェイと交わす会話です。

「・・・つまりね、生命を生み出すのが本当に正しいことなのかどうか、それがよくわからないってことさ。子供たちが成長し、世代が交代する。それでどうなる?もっと山が切り崩されてもっと海が埋め立てられる。もっとスピードの出る車が発明されて、もっと多くの猫が轢き殺される。それだけのことじゃないか」
「それは物事の暗い面だよ。良いことだって起きているし、良い人だっているさ」
「三つずつ例をあげてくれれば信じてもいいよ」と僕は言った。
 ジェイはしばらく考えて、それから笑った。「でもそれを判断するのはあんたたちの子供の世代であって、あんたじゃない。あんたたちの世代は・・・」
「もう終わったんだね?」
「ある意味ではね」とジェイは言った。


「スカイ・クロラ」の感想はシリーズを読み終わったときにしっかりしたものを書きたいと思います。作品をしっかりと何回も読んで、細かい描写にまで気を配るのも良いんですが、作品を読んで雰囲気を味わうのが良い気がします。(2009.03.07)