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サクリファイス /近藤史恵

・形式

小説、スポーツ、自転車、ロードレース、推理、青春

 


・あらすじ

ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと――。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた!

 


・収録話数

 


・初出

 


・刊行情報

サクリファイス(新潮社)

2007年8月

 

サクリファイス(新潮文庫)

2010年1月28日

 


・受賞歴、ランキング

第10回大藪春彦賞

 

逢坂剛

 

志水辰夫

 

西木正明

 

夢枕獏

 

 

2008年第5回本屋大賞第2位

 

第61回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補

 


・読了日

2008年9月3日 

 


・読了媒体

 サクリファイス(新潮社)

 


・感想メモ

本作はミステリと銘打たれていたのでどんでん返しや奇抜なトリックに期待していたのですがミステリ要素はそれほどでもなく肩透かしを食らったという印象でした。本作は、最近日本でも人気が高まってきた、ロードレースの描写が中心で、ミステリ要素というのは、伊坂幸太郎が「読者を驚かさせる、楽しませる要素を盛り込みたい」などと言うほどの量でしかなかったのではないでしょうか。

 

 

ロードレースを見たことがあるかどうか


もし、あなたが自転車が好きで、ロードレースが好き、ツールやジロ、または北海道や沖縄で行われるロードレースを見たことがあるというのなら、この本の感動を得られるかどうか、暫定一位のアシストがエースのために待つというシーンで感動を得られるかどうか疑問を抱いてしまいます。それは、本場では当然のことだからで、珍しいことではないからです。アシストはエースのために自分の順位を捨て、エースを勝たせるために全力を尽くす。これが悲劇と呼ばれるゆえんです。特に攻撃的アシストならなおさらそうです。実際にツールを見ていると、大部分のレースで誰かが他チームを混乱させるために飛び出すのですが、ほとんどはレース終盤で集団にのみ込まれてしまいます。北京オリンピックはワンデーレースであったが、やはり飛び出した3人はゴール直前に追いつかれました。

 


しかし、これがロードレースを知らない人ならば、話は変わります。個人での勝利を、チームのエース以外の全員が放棄し、一人を勝たせる。入門書として、これを読んで興味をもたれるというのが、一番素直な楽しみ方だろうというのが感想でした。

 


それに、やはりこの作品からはあまり熱さを感じれませんでした。スポーツ小説を読むとき、どうしても、ページを捲る手が止まらなくなってしまうようなおもしろさを求めてしまいます。どうもこの作品からはそういう類のおもしろさは感じられなかったのではないかと、自分が好きなロードレースの話であることもあって、やや厳しく思ってしまいました。

 


日本で育ったレーサーが世界で勝てるか・・・。ツールの各ステージの、ゴール直前のスプリントの迫力を見るとそう思ってしまいます。100キロ以上、時々200キロを超える距離を何日間も走ってきた後、アシストを発射台としてとび出すエースを見ると感動します。(2008.10.15)