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月光スイッチ /橋本紡

・形式

 小説、長篇

 


・あらすじ

奥さんが出産で里帰り中、不倫相手セイちゃんの家に転がり込んだわたし。インモラルでモラトリアムな時間、だが、そこで出会った人々とのふれあいが、わたしを少しずつ変えてゆく--新世代のラブ&ライフ文学。


たとえば、月の光を灯すように、世界を少しだけ変えるスイッチがあるのかもしれない。夏、恋人セイちゃんとの期間限定・新婚生活(仮)が始まった。ちょっぴり後ろめたいけど、確実に幸せな日々。その中で出会う不思議な人々、不穏なこころの波立ち。こんなことずっと続くわけないってわかってるけど、本当にあなたのこと、愛してるんだよ。ままならない思いを抱えて真摯に生きる彼女と、彼女に似たあなたのための物語。

 


・収録話数

 


・初出

 


・刊行情報

月光スイッチ(角川書店)

2007年3月

 

月光スイッチ(角川文庫)

2010年1月23日

 


・読了日

2008年1月1日

 


・読了媒体

 月光スイッチ(角川書店)

 


・感想メモ(※内容についての記述があります)

今回は、高校生が主人公ではありません、主人公は30歳に少し欠けるくらいの年齢の女性です。しかも、とある既婚男性のことが好きになり、奥さんが子どもを産むため実家に帰っている一ヶ月半のあいだに、彼の家に住み着いたという、とんでもない奴です。著者の世界観そのまんまです。女同士のバトルなんてのもありません。ドロドロとした昼ドラとは対極のような世界です。でも主人公の設定かストーリーか、それまでの著者の小説とは少し違うのかなと思いました。

 

登場人物と悩み

 
この著者の小説では、登場人物はとくに悩んでいます。人は誰でも悩んでいるとか、他の作家はただそれを描いていないだけだとか、それはつまり読者を悩ませないことだとか、それは最近の作家だけだとか、色々言えるんですけど、著者の場合それが顕著です。その悩みっていうのがとても前向きな悩みです。しかもいざというときは行動力がある。格好悪いことでもやるときはやれる、そんなところがあります。

 

 

本作でも主人公は悩んでいます。彼の家に住み着いた、でも赤ちゃんが産まれれば奥さんは戻ってきてしまう、家からは出ていかなければならない。どうしよう、といったものです。

 


そんな中で、とある姉弟と出会います。ストリートミュージシャンの弟、睦月とその姉、弥生。きっと、この2人がいなかったらこの作品はつまらなかったんじゃないかと思うくらい、良い2人です。そして、そんな中主人公はこう思います。

 

こうして呑気な姉弟といると、世界がひどく呑気なもののようにも思えてくる。実際、呑気なことだって、たくさんあるのだ。そして辛いこともある。選び取っているのはわたしたち自身だ。他の誰でもない。


こんなことを他の作家が書いたら、さぞ説教くさく感じてしまうんでしょうけど、著者ならではの世界観で言われると、うんその通りだと頷いてしまいます。

 

ラストと演奏


主人公は、物語の終わりで、姉弟と一緒に路上で演奏をします。


バンドしたことがある人、もしくは友達が演奏しているのを見たことがある人なら分かると思うんですけど、これ本当に楽しそうなんです。上手くても、下手でもそんなことはあんまり関係なくて、音楽してるって感じるとき本当に気持ちいいんです。そんなことを意図したかはわからないけども、上手いまとめ方だなと思いました。(2008.10.12)