・形式


 小説、長篇、青春


 



・あらすじ


人生に一度だけの18歳の夏休み。受験勉強を放り出して、僕は旅に出る。兄貴の残した車に乗って、偽の免許証を携えて。川崎→唐津、七日間のドライブ。助手席に謎の女の子を乗せて、心にはもういない人との想い出を詰めて、僕は西へ向かう。旅の終わりに、あの約束は果たされるだろうか。大人になろうとする少年のひと夏の冒険。軽やかな文章が弾ける、ポップでクールな青春小説。


 



・収録話数


 



・初出


 



・刊行情報


空色ヒッチハイカー(新潮社)


2006年12月


 


空色ヒッチハイカー(新潮文庫)


2009年7月28日


 



・読了日


 



・読了媒体


 空色ヒッチハイカー(新潮社)


 



・感想メモ


主人公は、東大志望の高校三年生。夏休みは受験の天王山などと言われるようにとても大切な時期です。その夏休みに主人公は勉強をしないことを決めて、兄の残した車に乗って旅に出ます。


 



行き先は決まっていますし、その目的もはっきりしているんですが、主人公は新幹線や飛行機ではなく、兄の残した車で行くことにこだわります。


 


 


主人公は旅に出た直後にヒッチハイカーを拾うことを思いつきます。夏休みという時期がちょうど良かったのか、途中では様々な人に出会います。それが本当に楽しそうなんです。


 



最初に、杏子ちゃん、ちゃんって言っても二十歳を過ぎているので立派な女性といったほうがいいかもしれません、っていう女の子に出会います。この子とは一番長く旅をすることになるのですが、一緒にいたらおもしろそうだなと思える子です。気さくとか、天然とかそういう感じの子ではなくて、気が強いんだけど何か憎めない子で、『半分の月』の里香に通じるところがあるようです。


 



著者は、脇役を描くのが非常に上手いと思います。『流れ星』のお父さんや、『月光スイッチ』の弥生さんと睦月君、『ひかりをすくう』の小澤さん、本作では石崎さんが杏子さんの言うとおり素敵です。


 



石崎さんは、日本中を巡っているらしい、旅人です。どもっているし、話の長い人です。とても不器用そうだし、これだけ聞くと好感は持てないような気がするんですがそうでないのだから不思議です。彼と別れるときは悲しくなってしまいました。


 


 


この小説を読んだときに、こんなに上手くばかりいかないだろうとどこかで思いながらも、頭の大部分は羨ましさと憧れで占められていました。いいなって。こんなことをしてみたいって。主人公は嫌な奴なのに、ヒロインは言葉遣い以外はとてもいい人。そして、そんな旅路がとても楽しく心地良いだからです。(2008.10.11)