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博士の愛した数式 /小川洋子

・形式

小説、長篇、数学

 


・あらすじ

小川洋子 『博士の愛した数式』 | 新潮社

 [ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた。記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい"家政婦。博士は“初対面"の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。

 


・収録話数

 


・初出

 新潮、2003年7月号

 


・刊行情報

博士の愛した数式(新潮社)

2003年8月29日

 

博士の愛した数式(新潮文庫)

2005年11月26日

 

 


・受賞歴、ランキング

第55回読売文学賞


大岡信


川村二郎

 

川本三郎

 

菅野昭正


津島佑子

 

富岡多惠子

 

 

2004年第1回本屋大賞

2004年本屋大賞結果発表&発表会レポート | これまでの本屋大賞 | 本屋大賞

 


・読了日

 


・読了媒体

 博士の愛した数式(新潮文庫)

 


・感想メモ

本作は穏やかな文章と設定、ストーリー展開に終始しており、普段、いわゆる純文学を読まない人には静かすぎ、また退屈すぎるかもしれません。作中で事件は起きるも、それが大事なのは当事者たる登場人物達だけで、傍観者たる読者にとってはとるに足らないことだとも思えてしまいます。

 


しかし、そのように言える本作がなぜ好評価を得ることが出来ているのか、それは好感が持てる作者の姿勢にあると思います。文庫版のあとがきからも分かるとおり、本作の執筆前には数学者に対しての質問をする機会も設けられています。そして、その調査によって成り立った本作は非常に精密な筆致で描かれています。数学を扱っているのですが、説明が多くなりすぎていることもありません。この小説は読者に読みやすいようであれと、苦心されているようです。

 


名作によくある強烈な読後感というものはないが、何かを感じさせる小説です。しみじみとした思いと、ゆっくりとした展開に心に残るものがあります。(2008.09.29)

 

 

初めて読んだとき、どうしてこの小説を名作だと思わなかったのかはよくわからないが、安定した筆致でこれまで出会ったことのないような登場人物を描き出した本作はまぎれもない名作だった。

 

 

時間が経つにつれて自分の中でこの小説の評価とというか印象がよくなっていくことがわかった。きっとこの小説の雰囲気が心地良かったのだと思う。登場人物たちの間にある優しさと配慮と丁寧さが、いやらしくもくどくもなく、読み手にもそのまま伝わったのだ。そしてそれはこの小説を名作というに足るものだった。(2017.11.21)