・形式


小説、長篇、ミステリー


 



・あらすじ


連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。


 



・収録話数


 



・初出


書き下ろし


 



・刊行情報


慟哭(東京創元社)


1993年10月1日


 


慟哭(創元推理文庫)


1999年3月17日


 



・受賞歴、ランキング


第4回鮎川哲也賞最終候補


 


鮎川哲也


 


紀田順一郎


 


中島河太郎


 



・読了日


2008年3月13日


 



・読了媒体


慟哭(創元推理文庫)


 



・感想メモ


※ネタバレ有一部反転


 



本作は2つのストーリーが並行して進んでいく。


 


1、幼女殺人事件が発生し、警視庁は捜査本部を立ち上げるも捜査は行き詰まり、幼女殺人事件は連続幼女誘拐事件に発展し、主人公である課長は難航する捜査を世論と上司に批判され苦悩し、さらには私生活も順風満帆とはとても言い難い苦境に立たされる。


 


2、孤独をかみしめている男が新興宗教にのめり込んでいく。


 



2つのストーリーが進行していき、そして絡み合っていくその段階に、私は哀しさと驚きを体験することができた。熱心なミステリーファンならば途中で真相に気が付いてしまうかもしれないが、本作にとって重要なのは本作に隠された愛情を慈しむことではないだろうか。人は追いつめられた極地でならどんな行動でもとってしまうのだろうか、本作を読み終えたときそう感じた。


 



捜査本部の長である本作の主人公、佐伯は連続養女殺人事件の進行していく中で、自分の娘が行方不明になったことに気付く、そのとき彼がとった行動は、まったく褒められるものではないし、また褒めるという行為の対極にあるものであった。彼がとった行動は凶行であり、それ以外の何物でもないといえる。しかし読後感は嫌悪感ではなかった。(2008.08.06)