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GO /金城一紀

・形式

小説、長篇

 


・あらすじ

広い世界を見るんだ―。僕は“在日朝鮮人”から“在日韓国人”に国籍を変え、民族学校ではなく都内の男子高に入学した。小さな円から脱け出て、『広い世界』へと飛び込む選択をしたのだ。でも、それはなかなか厳しい選択でもあったのだが。ある日、友人の誕生パーティーで一人の女の子と出会った。彼女はとても可愛かった―。感動の青春恋愛小説、待望の新装完全版登場!第123回直木賞受賞作。

 


・収録話数

 


・初出

 


・刊行情報

GO(講談社)

2000年3月30日

 

GO(講談社文庫)

2003年3月

 

GO(角川書店)

2007年5月1日

 

GO(角川文庫)

2007年6月1日

 


・受賞歴、ランキング

第123回直木三十五賞(オール讀物、2000年9月号)

 

阿刀田高× 

「ユーモア感覚のすばらしさに拍手を送ったが、これは“私”中心の作品で、周辺がうまく描かれていない。小説として広がりが乏しい。」

 

五木寛之◎

「背後をふり返ることなく前へ前へとつき進む物語りの疾走感は、まさしくエンターテインメントの新世界を切りひらいた感がある。」

 

井上ひさし◎  

「美点が数多くあるが、なによりも作者は、小説という表現形式を発見して嬉しがっている。小説と恋をしている。その喜びが、いたるところで踊っている。」

 

北方謙三○  

「主人公の出来がよすぎるのがいささか気になるが、読後にしっかりとなにかが残っている作品だった。最初の本で受賞というのは、苦しみもともに背負わせたようなものだろうと思うが、それを撥ね返すバイタリティはあると信じたい。」

 

黒岩重吾○ 

「作者の才能の奥深さが柔軟性をおび、様々な人間像を掌中で愉しみながらねっているような気がする。」


田辺聖子○ 

「キモチイイ辛口で味わってきた酒が、ラストに至ってにわかに甘口になってしまった感があるのは、私個人の好みとしては惜しいが、しかしまあ、なんと、のど越しのいい酒であろう。」

 

津本陽◎

「一気に読んだ。あふれるような筆力で、柔軟な文章である。不自然に思えるほどの疵もなく、重い底音を感じさせながら抑えている手際は、天性の旨みであろう。」

 

林真理子◎ 

「新人の作家が、作品に自分の持っているすべてを注ぎ込み、全力疾走するのは当然のことだ。が、この「GO」はその注ぎ方が尋常ではない。あまりの濃さに読んでいるこちらがむせそうになったことが何度もある。」

 

平岩弓枝◎  

「本来なら重く暗い主題を書きながら、さわやかで明るい。巧まざるユーモアも感じさせる。作者の筆力と若さの故かと思う。しかも、一つ一つのエピソードは切なく、哀しい。」


宮城谷昌光◎

「すぐれた作家のみがかならずもっている憎悪が底辺にめだたないようにあり、この憎悪の管理が疎漏なくなされているがゆえに、人間の愛ややさしさが小説世界のすみずみにしみわたってゆくのである。」


渡辺淳一◎  

「最も心を惹かれた。それは候補作のなかで、これだけが著者に切実なテーマを等身大の視点から、変に深刻ぶらずに、しかし強い迫力をもって描かれていたからである。」

 


・読了日

2008年4月11日

 


・読了媒体

GO(講談社)

 


・感想メモ

本作の主人公は、在日韓国人(コリアンジャパニーズ)の高校生です。彼は、コリアンジャパニーズに対する偏見や差別に辟易とし、国籍を日本にしただけではなく、民族学校ではなく普通高校に通うことで名実共に日本人になろうとするのですがそうはいかないのです。彼女にも「日本人でないこと」を話すのですが、その途端に拒絶されてしまいます。身体に流れる「血」には逆らえないのです。

 


本作ではそんな理不尽さというか、現実と向き合う一高校生が描かれていますが、完璧すぎるという思いに駆られるものの、易しい文体でかつ押しつけがましくなく問題を描ききったのは、見事です。登場人物が綺麗すぎて、小説の中の人間としか思えないということもありますが、そんな悪口を言いたくなるのもこの小説の読後感が爽やかだからです。(2008.05.06)