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放課後 /東野圭吾

・形式

小説、長篇、ミステリー

 


・あらすじ

校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を2人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将――犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第2の殺人が……。乱歩賞受賞の青春推理。

 


・収録話数

 


・初出

 


・刊行情報

放課後(講談社)

1985年9月

 

放課後(講談社文庫)

1988年7月7日

 


・受賞歴、ランキング

第31回江戸川乱歩賞

 

河野典生

 

小林久三

 

土屋隆夫

 

伴野朗

 

山村正夫

 


・読了日

2008年4月13日

 


・読了媒体

放課後(講談社文庫)

 


・感想メモ

※ネタバレ有一部反転。

 

本作を読んで感じたのは、青春推理小説を書く難しさである。犯行現場は学校の敷地内であり、主人公が教師ということもあって、生徒や授業、部活動など学校特有の風景を描く必要があるのだが、その比重を多くしすぎると推理要素が削られてしまいトリックが薄いもの、もしくはあまりにも突拍子のないものになってしまう、かといって少なくしすぎるとおまけのように感じられてしまうのだ。

 


トリックは優秀だ。伏線がさりげなくしかし鋭い人なら気が付くぐらいに張られている。特に殺人の動機は希有なものであった。江戸川乱歩賞の選考では批判されたが、私は子どもの世界の法律と大人の世界の法律は大きく異なっていると考えているので、とても真に迫っていると感じたのだ。それにしても捨てるトリック(実際には使用されなかったが使用されてもおかしくない程度、高等なトリック)を登場させるというのは、筆者のミステリに対する挑戦を感じさせると同時に、読者を楽しませようとする心意気をも感じる。

 


だが、最後のオチはどうなのだろうか?その部分の伏線が比較的わかりやすく、最後の予想がついてしまったのはご愛敬としても、その内容を認めたくないというか、気にくわない。しかしそれまでの主人公の性格は、よく言えば冷静、悪く言えば冷徹という感なので無理もないといえばないのだが。

 


本作の最も良い点は、最初から最後まで一貫したテンションを保てていることである。状況の説明が必要なミステリーでテンションを保てているというのは、読ませる力があるということである。また、登場する女子高生の描き方が自然であるのも大きい。大人であるようで実は子どもでもあるというこの多感な時期を上手く描いていると言える。

 


残念なのは、伏線を全て回収できたとは言い難いことと、説明不足な点があったことだが、そんなことを言ってもおつりが充分に来るくらい完成度は高いと言えるだろう。(2008.04.14)