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本格推理委員会 /日向まさみち

・形式

小説、長篇、ミステリー

 


・あらすじ

小中高一貫の大型校、木ノ花学園で事件は起きた。学園でいちばん古い校舎にある音楽室に、死んだはずの女の人が現れたという…。怪談の中心にいるのは、春休みに母を亡くした少女だった。事件を調べるのは、美人で巨乳の理事長木ノ花あざみによって作られた「本格推理委員会」だ。メンバーは学園一の知識を持つ委員長・桜森鈴音、空手部エースの先輩・楠木菜摘。そして委員会の最終兵器、全てを見通す「ただの勘」を持った木下椎である。あとは、俺・城崎修。普通の高校生、ただの使いっ走りだ。学校の怪談はやがて、過去の事件へとつながり、少女たちは心の歯車を狂わされていく。そして、理事長は言った。あなたが事件を解決するのだ、と。使いっ走りのこの俺が―。次世代青春小説&ミステリの扉がいま開かれる!

 


小・中・高校の一貫教育学校・木ノ花学園の音楽室に、死んだはずの女性が現れたとの噂が流れる。探偵の素質を持った少年少女を選抜して結成された“本格的に推理をしてしまう委員会”『本格推理委員会』に、理事長の命令で入ることになった高校生の城崎修は、その怪談話の発生源を探り始めるが、そこには思わぬ真実が待ち受けていた!第1回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した、痛いほどに純粋な次世代青春&ミステリ。

 


・収録話数

 


・初出

 


・刊行情報

本格推理委員会(産業編集センター)

2004年7月

 

本格推理委員会(角川文庫)

2006年12月22日

 


・受賞歴、ランキング

第1回ボイルドエッグズ新人賞

 

滝本竜彦○

「もっとも商業的に成功する可能性の高い作品として受賞作に推しました。今後は既存のキャラクター造形を用いてゲーム的な小説空間を作り上げる手法を、さらに自覚的に自作に取り入れ、もっともっとハジケた作品をたくさん書きまくって欲しいと思います。」

 

千木良悠子○

「『本格推理委員会』にはどこかで見たようなキャラクターがたくさん登場する。ロリータでパンツ丸見えの女の子、モーレツな馴染みの女の子、胸のでかい美人の理事長、明晰な友人にエロいことばっかり言ってる友人。そして目つきの悪い、いつも周りに巻き込まれてしまう主人公。パターン通りのはずなのに、やっぱり彼らは魅力的だし、儚い学生生活を一瞬だけ生きる現代の若者に見える。それは匙加減のセンスと、あと全体を通して流れる何か儚い、郷愁のようなムードの効果だろう。学生生活は短くて儚い。儚いのはエロチックである。この作品はエロチックで、それがとっても良かったと思う。」

 

三浦しをん△

「主人公を筆頭に、ストーリー展開に即して登場人物の心情の起伏がきちんと描かれ、読んでいて「どうなるんだろう」と最後まで興味が持続した。魅力的なのに、あまり物語に関係してこない登場人物がいて少し残念ですが、設定がおもしろいので、続編やサイドストーリーを書くことも可能かなと思いました(その際はぜひ、菊地君に活躍の場を与えていただきたい!)。
 ただ、トリックと推理に、ややアンフェアかなと気になる箇所がありました。魅力のある物語なだけに、より緻密で端整な謎解きを期待します。」

村上達朗○

「23番目の『本格推理委員会』はタイトルに惹かれ、期待して読み始めた。文章は軽快で、人物は面白く、随所にユーモラスなやりとりがある。読み出してすぐ、ぼくは快哉を叫んだ。これがぼくが求めていた作品だと思った。願わくば最後までこの調子で進んでくれと祈った。中盤、一人称が三人称多視点に変わったところで、がっかりした。ミステリでこういう書き方をしてはいけない。しかし、何度か読み返し、この傷は書き直せば修復できると思い直した。この作者ならできるはずだ。自分たちがいま読みたい小説を書きたいという強い願望が作品から漂っていた。」



・読了日

2008年4月3日

 


・読了媒体

本格推理委員会(産業編集センター)

 


・感想メモ

※ネタバレ有反転。

 

本作は次世代青春小説&ミステリを謳っているのだがいかんせん弱い。


先ずミステリの部分だが、先が何となく読めてしまうのはご愛敬としても、何というか食い足りないのである。真相を知った後に来る驚きが無いのが、本格ミステリを語るには弱いと思わざるを得ない。

 


次に(次世代)青春小説の部分だが、青春小説と言うからには主人公の成長が描かれているのだが、主人公の伯父を殺してしまったという罪悪感を取り払ってしまったのはいかがなものだろう。主人公が三年間に渡り苦しみ続けてきたものを一瞬にして取り払ってしまうのは、抵抗がある。人の心の闇の部分と戦いながらも成長する高校生をミステリの一部に書けというのも酷な提案ではあるが、それに挑戦して欲しかった。せっかく成長した部分をもしくは吹っ切れた部分を書いても、前提に暗い負の面が存在していなくては、薄情さをも感じてしまうのだ。

 


設定に難があるようにも思った。「絶対に外れない勘を持つ少女」木下椎を登場させても、実際の捜査、推理の場面で彼女がほとんど出てこないと言うのは勿体ない。学園一の知識を持つ委員長・桜森鈴音がその知識を発揮する場面が少なすぎるというのもある。

 


また登場人物が多すぎる印象をうけた。あとがきで「キャラクター」の造形に苦心したとの筆者の言葉があるが、この作品は、青春小説とミステリなのだから成長の描写および、推理のために多くの分量が割かれるのは明白であるのだから、もう少し登場人物を絞って欲しかった。わずかしか登場しない人物の紹介にページを割きすぎではないか。(2008.04.04)