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フィッシュストーリー /伊坂幸太郎

・形式

小説、短篇集

 


・あらすじ

最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。時空をまたいでリンクした出来事が、胸のすくエンディングへと一閃に向かう瞠目の表題作ほか、伊坂ワールドの人気者・黒澤が大活躍の「サクリファイス」「ポテチ」など、変幻自在の筆致で繰り出される中篇四連打。爽快感溢れる作品集。

 


・収録話数

「動物園のエンジン」

「サクリファイス」

「フィッシュストーリー」

「ポテチ」

 


・初出

「動物園のエンジン」   小説新潮、2001年3月号

「サクリファイス」    別冊東北学、2004年8月号

「フィッシュストーリー」 小説新潮、2005年10月号

「ポテチ」        書き下ろし

 


・受賞歴、ランキング

第20回山本周五郎賞候補(小説新潮、2007年7月号)

 

浅田次郎×

「氏の表現のことごとくを長所と感ずるか短所と感ずるかによって、この物件の評価は真向から対立することになる。この矛盾せる対立の根源は「苦悩の不在」であろうか。」


北村薫× 

「この一冊だけで、賞に推す気にはなれなかった。」


小池真理子× 

「これまでの伊坂作品を読んでいない読者には、正しく解読することが難しい作品と言える。せっかくの小説的才能を、作者自身が手軽に使いきってしまおうとしているように見えるのは、私だけだろうか。」


重松清×

「先行作品の参照や援用なしに向き合った場合、僕には残念ながら本作を「受賞作品」として推すことはできなかったのである。」


篠田節子× 

「候補となった作品が、これまでに出た伊坂さんの本のサイドストーリーのようなもので、それらの本をあらかじめ読み、前提を理解した上でなければ読み解くことができない内容だったらしい。逆に言えばこうした本が出るほど、伊坂ワールドに魅せられたファンが多いということでもある。それを思えば、あながち不運な結果とも言えまい。」

 


・読了日

2008年2月17日

 


・読了媒体

フィッシュストーリー(新潮社)

 


・感想メモ

※ネタバレ有一部反転

 

伊坂幸太郎といえば、僕の大好きな作家です。それゆえ、期待と不安の両方を抱え読みました。結論から言うと、可もなく不可もなく、といった感じでした。

 


残念だったのは、ラストが読めてしまったということです。表題作では、最後のページを開く前に「これで終わりだろうな」と感じてしまいました。「ポテチ」のラストにいたっては、「伊坂ならラストはこうするだろうな」という予感のようなものがあって、的中してしまいました。もちろん、短編で衝撃的なラストにもっていくのは至難の業なのですが。

 


登場人物が普通だったことも、残念でした。凝りに凝ったキャラクターを描いてほしかったです。これは、ゴールデンスランバーにも共通します。陽気なギャングが地球を回すや、アヒルと鴨のコインロッカー、砂漠に登場したような強烈な個性の再来を願っています。

 


しかし、「フィッシュストーリー」は表題作ならではの出来だったとおもいます。シーンが飛び混乱もしましたが、伊坂の世界観がよくあらわられており、伊坂らしさがでた良作でした。(2008.02.17)

 

 

佳作の揃った短篇集で、過去作を読み通していればなおのことおもしろい。終盤のどんでん返しは長篇小説にまかせ、本作ではアナザーストーリーが楽しめる。(2017.10,27)