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カラフル /森絵都

・形式

小説

 


・あらすじ

「おめでとうございます! 抽選にあたりました! 」 生前の罪により輪廻のサイクルからはずされたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、 再挑戦のチャンスを得た。 自殺を図った中学三年生の少年、小林真の体にホームステイし、 自分の罪を思い出さなければならないのだ。 ガイド役の天使のプラプラによると、父親は利己的で母親は不倫しており、兄の満は無神経な意地悪男らしい。 学校に行ってみると友達がいなかったらしい真に話しかけてくるのは変なチビ女だけ。 絵を描くのが好きだった真は美術室に通いつめていた。 ぼくが真として過ごすうちに、しだいに家族やクラスメイトとの距離が変っていく。 モノクロームだった周囲のイメージが、様々な色で満ちてくるーー。 高校生が選んだ読みたい文庫ナンバー1。累計100万部突破の大人も泣ける不朽の名作青春小説。

 


・収録話数

 


・初出

 


・受賞歴、ランキング

第46回産経児童出版文化賞

 


・読了日

2008年2月23日

 


・読了媒体

カラフル(文春文庫)

 


・感想メモ

※ネタバレ有一部反転

 

本作の主人公は、一度は死んだ人間である。それが「抽選に当たった」という理由で、現世に戻り、他人の体に入る。そして、自分は生前どんな罪を犯したのかということを思い出そうと努力する。

 


本作のテーマは決して軽いものではない。主人公は死んだ人間であるし、中学2年生の後輩は売春を行っている。主人公が宿ることになる真の母親は不倫をしている。後輩も最初は「お金のため」と割り切っている風を装っているが、後に「一日おきに死にたくなる」と言うことから嫌悪感を感じているようだ。

 


だが何も悪いことばかりではない。物語の前半では登場人物の悪いところばかりが描かれ、後半では良いところが描かれるのだが、そのあまりの落差に読者は困惑しながらも、彼らを人間として見つめることができる。(ただ、僕は家族の変貌ぶりにいささか疑問を持った。家族が自殺を図るというのがこれ以上ないほどの衝撃であることは理解できるのだが、変わりすぎではないだろうか?)

 


それまで、上辺だけしか見せなかった人が自分に対して思いを正直に話してくれるというのは、大きな困惑をともなうものの嬉しさを感じるものだ。そんな文字通り変わった真に
周辺の人は好感を抱いたのだろうか。不器用さという、思春期のまっただ中にいるものなら必ず持っているものを持っていなかった真。手に入れたとたんに、感情を上手くコントロールできなくなってしまうこともあったが、それは彼を人間として成長させたようだ。そんな彼に刺激され、家族が変わったのも、彼に自分の正直な思いを語るものが出てきたのも、必然と言えるかもしれない。

 


この作品の題は「カラフル」である。それは、色の種類の豊かさと同じぐらい人間の感情も様々な起伏に満ちているということなのだろう。自分の本当の色はなんなのだろう。純粋さを感じさせる「白」か。攻撃的ながら明るさも感じさせる「赤」か。どす暗い「黒」か。だが、「黒」とは何色にも染められないー自分の個性を確定させているーと、とることができる。まさに「カラフル」である。

 

 

主人公が生前行ったことが犯罪であるのかは僕にはわからない。けれど主人公は犯罪を犯したと言う。ならばそれはやはり犯罪であったのだろう。(2008.02.23)