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プリズムの夏 /関口尚

・形式

小説、長篇

 


・あらすじ

僕は、彼女を救えるだろうか。高三の「ぼく」は映画館で働く松下さんに恋をしていた。だが、彼女はうつ病日記をネットで書く「アンアン」ではないかと思い始め――。真直ぐな思いを鮮烈に描く青春恋愛小説。第15回小説すばる新人賞受賞作。

 


・収録話数

 


・初出

 


・受賞歴、ランキング

第15回小説すばる新人賞

 

阿刀田高

 

五木寛之

 

井上ひさし

 

北方謙三

 

宮部みゆき

 


・読了日

 


・読了媒体

プリズムの夏(集英社文庫)

 


・感想メモ

※ネタバレ有一部反転。

 

主人公2人に共感がもてませんでした。無鉄砲なようで、冷静であり、不真面目なようで、計画性がある。それは、あくまで「小説の中の高校生」というものを抜け出せていないように思いました。高校生らしさはたくさん見受けられるのだが、それはあくまで「らしさ」であり、現役高校生の目から見ると「こんな奴いんのかよ?」などと思えてしまいます。

 


共感がもてないという点では、松下さんも同じです。ある事件をさかいに主人公2人と松下さんは親しくなり話をするようになるのですが、前後の松下さんの差が激しい。「何かあったのか」と聞きたくなるような変化です。松下さんが人見知りだとか、高校生とはいえ男性を警戒していたなどと言われればそうかもしれませんが、なんとも釈然としません。

 


なにより、到着したのが最後の更新から2週間後というのが信じられません。真剣なのか、どうでもいいのか、深く干渉しないほうがいいと思ったのか(そんなわけはないでしょうが)、この点から主人公に共感できないということを確信してしまいました。

 


本書の良い点は、最後の主人公の成長を描いた場面でしょう。精神的な成長が見られるのですが、その表現がとても自然でした。また、「愛されないというだけでここまで病んでしまうのか」という読者が抱くであろう疑問をあえて主人公に言わせるという、挑戦を行っていることも。小原麻紀という人物をして、人間というものを描いているということも優れています。(2008.02.11)