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夜は短し歩けよ乙女 /森見登美彦


・形式

小説、恋愛、ファンタジー、幻想的

 


・あらすじ

「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦|KADOKAWA

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

 

鬼才モリミが放つ、キュートでポップな片想いストーリー!
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!


私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。「あ!先輩、奇遇ですねえ!」…「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。天然キャラ女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都。

 


・収録話数

 


・初出

 


・受賞歴、ランキング

第20回山本周五郎賞(小説新潮、2007年7月号)

 

浅田次郎△

「年齢とキャリアから察するに、この建築家の才覚はなまなかのものではない。古典的な素材をふんだんに使用して、少しも衒いを感じさせぬ。自由闊達な表現をしながら放埓に流れず、思想性や求心力には欠けるものの、決定的な破綻は見当たらない。すぐれた建築にはストーリー性のダイナミズムが必要である。この一作品を鑑賞した限りでは、氏にそうした資質があるかどうか不明であった。」


北村薫◎ 

「これはもう、一段階、完全に抜けていて、どれかひとつとなったら論をまたない、という思いであった。粗筋を聞いたら、腹の立つような話が、読んでみると、まことに魅力的なのだ。」


小池真理子◎  

「単に物語や仕掛けの面白さというよりは、むしろ、私はこの作品に通奏低音のように流れている「健やかさ」に感心した。」


重松清◎ 
「森見さんはみごとに「一人称の天然」を描ききった。種明かしになりかねない内面へと無防備に足を踏み込むことなく、それでいて決して物足りなさは感じさせずにヒロインを造型し、描写した。その筆力(なのかヒロインや物語そのものへの愛なのか)にただただ敬服して、授賞への一票を投じたのだった。」


篠田節子○

「冒頭数ページのお調子ものの比喩と言い回しに白けながら、しかし読み進むに従い、作者の豊かなイメージ世界と尋常ならざる言葉の巧みさに、引き込まれていった。」

 


第137回直木三十五賞候補(オール讀物、2007年9月号)

 

浅田次郎×

「すぐれた作品ではあるが、直木賞には力及ばずとする階級主義的評価を寛恕していただきたい。」

 

阿刀田高△

「私は筋のよさを感じたが、だからどうした、と小説の本筋としての価値を問われると、やはり躊躇を覚えてしまう。」

 

五木寛之△ 
「近作『新釈 走れメロス』の怪走ぶりに驚き、ついに文壇をひっくり返す大天狗作家の出現かと期待したものの、今回の候補作いささか肩すかしをくらった感をぬぐえなかったのは私ひとりだろうか。」

 

井上ひさし△  

「独特な物語性を備えた快作であって、美点は多い。たとえば、青春小説の独り善がりの青臭さを、わざと悪趣味に誇張して見せる批評的な態度、巡り逢い青春小説の御都合主義を徹底的にからかうおもしろさ、読者との距離をできるだけ縮めようと努力する文体、一つの事件を男と女の側から見ようとする複眼の手法……いいところを挙げると際限がない」

 

北方謙三× 
「最後まで、私の心に食いこんでくるものがなかった。この男女に、どう感情移入せよというのだ、という思いがつきまとまった。」

 

林真理子×

「ギリシャ神話を彷彿とさせるような清新さに最初はハッとするものの、最後まで一本調子が抜けない。作者が“これでよし”と思う気持ちが強過ぎるからだ。」

 

平岩弓枝

 

宮城谷昌光

 

渡辺淳一×

「いかにも今風の男女の姿を描いているが、ファンタジーかお笑いか。重い、真摯なものを避け、斜めに書く姿勢をよしとしている作風が鼻につく。」

 


2007年本屋大賞第2位

 


・読了日

 


・読了媒体

夜は短し歩けよ乙女(角川書店)

 


・感想メモ

おもしろい!この本にそれ以外の感想は必要ない気がする。

 


あるときは緋鯉を背負い林檎飴を食べ、あるときは古本市で絵本を探し、またあるときは、お化け屋敷で「おともだちパンチ」をおみまいするヒロイン、乙女。そんな彼女に恋した男の物語だ。

 


男は絵本を手に入れるために熱帯地獄に挑み、お化け屋敷で「おともだちパンチ」をおみまいする彼女に萌え、命がけで緋鯉を追う。しかし、「ナカメ(なるべく彼女の目にとまる)作戦」を決行しながら、ひたすら外堀を埋めていくだけでなかなか本丸を攻略できずにいる。

 


その天然とも、好奇心旺盛ともいえる彼女は、森見独特の文体でたいへん愛らしい思わず「かわいいなぁ」とつぶやいてしまいそうな存在になっている。

 


詭弁論部、パンツ大総長、実行委員会、転がる達磨、象の尻、韋駄天コタツ、偏屈王、など強烈なキャラクターが総登場の第三話は僕が森見作品で一番好きな話だ。(2008.02.08)