・形式


小説、連作短篇集、SF


 



・あらすじ


八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは? 今日を生きることの意味を知る物語。

2XXX年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。犯罪がはびこり、秩序は崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は、いかにそれぞれの人生を送るのか?


 



・収録話数


終末のフール
太陽のシール
籠城のビール
冬眠のガール
鋼鉄のウール
天体のヨール
演劇のオール
深海のポール


 



・初出


終末のフール、小説すばる、2004年2月号
太陽のシール、小説すばる、2004年5月号
籠城のビール、小説すばる、2004年8月号
冬眠のガール、小説すばる、2004年11月号
鋼鉄のウール、小説すばる、2005年2月号
天体のヨール、小説すばる、2005年5月号
演劇のオール、小説すばる、2005年8月号
深海のポール、小説すばる、2005年11月号


 



・受賞歴、ランキング
第19回山本周五郎賞候補(小説新潮、2006年7月号)


 


浅田次郎×


「多年の甲羅を経た消費者の目から見ると、ひとことで言って「食い足らん」のである。やはりこの作品は作者の資質に不適合であったと言わざるを得ない。」



北村薫〇
「極限状況をまさに伊坂氏の個性によって描く。そこに、得難い値打ちがある。特に、前半の作品には、何度も《巧いなあ》と唸った。」



小池真理子×
「文章にも安定感があり、基礎力は充分なのだが、これまでの伊坂作品に比べ、小粒だという印象が否めなかった。人類滅亡、という特殊な筋立てに寄りかかりすぎるあまり、作り物めいた小細工が多く目につくような気がした。」



重松清△
「表題作でもある巻頭の一編を読んだとき、過去/未来と現在との巧みな距離の取り方に驚嘆した。だが、残念ながら、その驚嘆は作品が重ねられるにつれて弱まってしまう。」



篠田節子△
「起きる事態をシミュレートして、三千枚の大作を書くのは他の作家にまかせるとして、伊坂氏の持ち味は、「にもかかわらず」の人のくった軽やかなムードと、シュールな設定だろう。本来、アイロニーに満ちた寓話となるところなのだが、「普通の小説」を指向したせいか、ただの「いい話」になっているのがなんとも残念だった。」


 



2007年本屋大賞第4位


 
キノベス!2006 10位


 



・読了日


2008年1月26日


 



・読了媒体


終末のフール(集英社)


 



・感想メモ


「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。秩序崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は…。


 



「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表された直後は、犯罪が横行し食料の奪い合いがおきてしまいました。そして、自殺するもの、殺人を犯すもの、が続出し人口が激減してしまったのです。


 



しかし、5年が経過した現在は犯罪は減り、小康状態かもしれませんが平和な時間を取り戻しつつあります。


 



この世界の登場人物たちは、いずれも生きることに真剣に向かい合っています。子どもを産むか迷う夫婦、ボーイフレンドをつくろうとする少女。そんな彼らは、(有り得ないことだとわかっていても)小惑星が降らず、訪れる未来を信じているのでしょうか。


 



もし僕がこの世界に生きていたらどうするでしょうか。
この、物語は明日のこともわからない私たちのことを暗示しているのでしょうか。


 



伊坂作品の中では一風変わった作品です。普通に「いい話」になっていながら、それだけでなく伊坂特有のユーモア(時にブラックユーモア)がたくさん含まれています。


 



僕は、伊坂幸太郎はただ「楽しい」というだけの作品ではなく、作品の根底に、答えのでない問いに対する自分なりの答えを考え書いている作家だと思っています。それが現在、伊坂幸太郎が高く評価されている一因だと思うのです。


 



また、伊坂幸太郎はは本作に対するインタビューの中で次のように述べています。
「僕はやっぱり、死というのは負けじゃないと思っているんです。いずれみんな死ぬんだし、というのがやっぱり根底にあって。死と戦わなくてはいけないのか? じゃあ死んだ人は負けた人になっちゃうじゃないか、と。分からないなりに、いろいろ考えてしまって。今はとりあえず、立ち向かうものではない、と思っているんですよね。」(2008.02.05)