・形式


小説、短篇集


 



・あらすじ


「この物語は全部の物語の続編だ」―親に捨てられ、行き場を失った少年と家出少女、リストラされた中年男。世間からはみ出してしまった3人のハルが世界を疾走する。乱暴で純粋な人間たちの圧倒的な“いま”を描き、話題沸騰となった著者代表作。表題作に加え、「スローモーション」「8ドッグズ」を収録。


 


「ハル、ハル、ハル」


親に捨てられた少年、家出を繰り返す少女、鬱病を患いリストラされ家族に逃げられたタクシー運転手。そんな、三人が出会い千葉県の犬吠崎へ向かう。


 


「スローモーション」


一人の女性が日記を書いていく。


 


「8ドッグズ」


若い男性と、5歳年上の恋人。そんな2人の物語。


 



・収録話数


全3編


 



・初出


「ハル、ハル、ハル」、文藝、2006年春号


「スローモーション」、文藝、2006年秋号


「8ドッグズ」、文藝、2007年夏号


 



・読了日


2008年2月4日


 



・読了媒体


ハル、ハル、ハル(河出書房新社)


 



・感想メモ


「ハル、ハル、ハル」の中で少女は、タクシー運転手を「お父さん」と呼びます。そして、少年には「ハル姉」と呼ばせています。偶然に出会ったばかりなのにもかかわらないのにです。


 


 


少女は16歳。もちろん、両親ともに健在です。しかし、父親は三人目。家庭事情が複雑だということは容易に想像できることです。ですが、少女は両親を嫌っているわけではありません。なのに、三人目の父親が現れてから、少女は「家庭に釘付けにされなければいい」と考え、小さな家出を繰り返すことになります。


 


 


そんな中、少女は「お父さん」と「弟」に偶然出会います。血が繋がっているわけじゃありません。最初こそ2人とも「家族」にとまどっていますが、物語の終盤には、そんなことはなくなり打ち解けたように思えます。
それは、ただの演技かもしれません。「家族」を装っているだけかもしれません。


たった1人が、3人になったことに、大きな意味などないのかもしれません。
ですが、その空間は心地よい安心感に満ちています。


 


 


僕はそんなにおもしろいとは思えませんでした。著者の独特な文体があわなかったのでしょうか。(2008.02.04)


 


 


文体が特徴的で、疾走的とも称されたが、強く印象に残るものだ。ストーリーはとりわけ心に残るものではなかったが、読者はその文体の力を借りてどんどん読み進んで行くことができる。後年まで不思議と覚えている小説だった。楽しめたと思う。でもなんでそんなにおもしろいと思えなかったのかはよく覚えていない。(2017.10.16)