逃亡くそたわけ /絲山秋子

逃亡くそたわけ (講談社文庫)

逃亡くそたわけ (講談社文庫)

 

・形式

小説、長篇


・あらすじ

「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、退屈な精神病院からの脱走を決意。名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、彼のぼろぼろの車での逃亡が始まった。道中、幻聴に悩まされ、なごやんと衝突しながらも、車は福岡から、阿蘇、さらに南へ疾走する。


・初出

書き下ろし


・受賞歴、ランキング

第133回直木三十五賞候補

 

阿刀田高

「強い愛着を覚えた。サラリと書いているが企みは深い。貫くユーモアが上質だ。人間の造形も確かである。「精神を病んでいる者のビヘイビアではない」と他の委員から評されそれを認めざるをえなかった。」

 

五木寛之

「この作家の方言に対する感性は卓抜なものがある。軽い意味でではなく、じつにセンスのある作家である。」

 

井上ひさし×

「読者は絲山節を堪能するのだが、しかし二人を追い詰めているはずの「日常」や「常識」が、まったく書き込まれていない。語り口に「狂った誠実さ」が欠けていて、すべてがあんまりあっさりしすぎている。」

 

北方謙三×

「しっかりした文章で、方言なども効果的だったが、作者はなにかひとつ切実なものを忘れて、物語を構成したのだという気がした。」

 

津本陽

「結末の盛りあがりがありそうで引っ張られたが、なかった。」

 

林真理子×

「作者の才能は認めるものの、小説のダイナミズムを感じることが出来なかった。今どき、純文学が、エンターテイメントがと言うつもりはないが、こういう作品がどうして直木賞候補にラインアップされたのかわからない。違う場所で評価を受ける作品であると思う。」

 

平岩弓枝

「会話の妙に感動した。病気を持った男女二人の心の通い合いを九州の自然の中にばらまきながらつむいで行った作者の腕は見事という他はなかった。次の機会には必ず直木賞を受ける作家と思っている。」

宮城谷昌光 

渡辺淳一×

「題名が騒々しいわりに内容が薄い。肝腎の精神病者が普通の健常者にしか見えないし、健常なのに精神病者にされたのだとしたら、その背景をしっかり描くべきである。」

・読了日

初読日不明


・読了媒体

逃亡くそたわけ(中央公論新社


・感想メモ