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幸福の丘ニュータウン /細野不二彦

・形式

漫画、連作短編集

 


・あらすじ

幸せな家庭を持ちながら、愛人・有紀との火遊びを続ける男・内田。もちろん、家庭を壊さぬ程度の関係に留めていたのだが、ある夜、妻の慶子がすすり泣いているのを見てしまう。「有紀のことカンづいているんじゃ…」と思った内田は、愛人との関係を清算しようと考え始めるのだが……(第1話)。▼引っ越し早々、隣家の河井とぎくしゃくした関係になってしまった橋元。ゴミを荒らされたり、わざわざ聞こえるように悪口を言われたり、嫌がらせをされるようになってしまう。そんなある日、深夜、買い物にでた橋元は、シャベルと、土にまみれた包みを持った河井とばったり遭遇。「何をしてたんだろう、こんな真夜中に?」。疑問に思う橋元であったが、次の日、団地の花壇の花がごっそり盗まれていたことを知るのだった(第2話)。

昼さがりのニュータウン。そこには夫たちの知らない妻たちだけの世界があった…。日常にひそむ、底知れない恐怖の物語。

 


・収録話数

全8話

 


・初出

第1話喪主の女、ビッグコミック、1996年10月号

第2話隣家の女、ビッグコミック、1997年2月号

第3話柔順な女、ビッグコミック、1997年4月号

第4話お受験の女、ビッグコミック、1997年6月号

第5話博愛の女、ビッグコミック、1997年9月号

第6話新居の女、ビッグコミック、1997年11月号

第7話若さの女、ビッグコミック、1998年6月号

第8話疑惑の女、ビッグコミック、1998年10月号

 


・読了日

2017年10月5日

 


・読了媒体

幸福の丘ニュータウン (ビッグコミックススペシャル)

 


・感想メモ

団地に住む人々のありきたりな日常に潜む狂気にも似た人間模様を描いた連作短編集だが、各話がリアルすぎて、ブラックユーモアというよりは、「ホントにあった狂気の話」みたいな後味の悪さだけが残った。

 

ユーモアや笑い、劇的なストーリがなく、日常生活に終始していて救いもない。「幸福」というタイトルの言葉が皮肉になっている。幽霊でもない、心霊でもオカルトでも伝承でもなく、本当に怖いのは人間とでも言いたくなるような連作短編で、とにかく現実的過ぎる。そういう話を書きたかったのならば大成功だけど。(2017.10.06)