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六番目の小夜子 /恩田陸

・形式

小説、長篇

 

 

・あらすじ

 潮田玲が通う学校には「サヨコ」という不思議な言い伝えがあった。3年に1度、サヨコと名乗る生徒が選ばれて3つの約束(赤い花を生ける・サヨコを演じる・サヨコを指名する)を果たす。それが成功すれば大いなる扉が開かれ、3年後にまた新しいサヨコが現れる。そう言われていた。玲はサヨコに選ばれた幼馴染の関根秋に頼んでサヨコをやらせてもらうことになった。他の誰にもサヨコであることを知られないように。始業式の朝、玲が1つ目の約束を実行しに行くと、戸棚に入っているはずの花瓶がすでに正面玄関に出され、赤い花束が生けてあった。愕然とする玲の耳に鈴の音が聞こえ、その音を追ってみると走り去る女子生徒の後ろ姿が…。玲は慌てて後を追うが、見失ってしまう。さらに、始業式の最中に体育館の照明が落下する事故が起こる。生徒たちは「サヨコがやった」と騒ぎ、玲は落下した照明のそばに、赤い花が1つ落ちているのを見つける。そして始業式の後、玲のクラスに「津村沙世子」という女子生徒が転入し、クラスは騒然となる。玲は、1つ目の約束を実行したのは沙世子ではないかと確信し、彼女と“六番目のサヨコ”を賭けてバスケで勝負をする。しかし、途中で沙世子が負傷したため、決着をつけることができなかった。ある日、2年生のテストの満点取得者名が貼りだされ、玲たちはどの教科にも沙世子の名前があることに愕然とする。秋は沙世子が超進学校から公立の学校に転入してきたことに疑問を感じ、選んだ理由を訊ねると沙世子は「呼ばれたから」とだけ答えた。そんな折、玲は「もう一人のサヨコさんへ。鍵を返して下さい」と書かれた手紙を見つけて腹を立て、「そっちこそ、鍵と台本を返して下さい」と書いて沙世子の靴箱に入れる。しかし、「サヨコの正体が知られたとき、本物のサヨコが怒って災いを起こす」という噂を聞き、恐怖に駆られて手紙を取り戻そうとするが既になくなっていた。帰宅後、玲は「日曜の夕方、学校で待つ」という沙世子からの電話があったことを知る。玲を心配して学校に駆けつけた秋は、そこに偶然居合わせた同級生の加藤に「秋がサヨコなのではないか」と言われるが、取り合わずに加藤と別れる。秋は結局2人に会えず、沙世子の家に電話を掛けるが「沙世子はおりません」とだけ言われて切られてしまう。一方、玲は沙世子と対面するが「私も呼び出された」と言われ、唖然とする。沙世子は玲に学校近くの国道で起こった事故のこと、そして事故で死んだ生徒の話を始める。沙世子が何者なのか戸惑う玲に対して、沙世子は言い放つ。「戻ってきたの。私が六番目のサヨコよ」。しかし、2人を尾行していた加藤にその言葉を聞かれてしまう。2人は加藤を口止めするために分かれて彼を追う。加藤は校庭まで戻ってきたが沙世子に追いつかれる。そして…。翌日、加藤が喘息の発作で入院したことを知った玲と秋は、「碑を見て」という加藤の伝言を受け取り、校庭の片隅にある碑に刻まれた文字を見る。そこには「昭和六十三年 津村沙世子 享年十五」と刻まれていた。沙世子は、死んだ津村沙世子の亡霊なのだろうか?

 


・収録話数

全六章

 


・受賞歴、ランキング

第3回ファンタジーノベル大賞最終選考

 


・読了日

2017年5月17日

 


・読了媒体

六番目の小夜子 (新潮文庫)

 


・感想メモ

 狭い教室の中で四十~五十ほどの人間が机を並べて何時間も前方を見つめている奇妙

さ、しかもそれはメンバーを入れ替えつつ繰り返される。青春期のその戸惑いや煌めき

を描こうとしたことはよく分かるが、しかし謎は全て解明されず、長い。とはいえ三年

しかいない学生視点なのだから十五年間の真実は分からなくて当然かもしれない。なに

より秋は大切なことを掴んだようだ。(2017.05.17)