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遮光 /中村文則

・形式

小説、長篇

 

 

・あらすじ

恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら、彼女は今でも生きていると、その幸福を語り続ける男。彼の手元には、黒いビニールに包まれた謎の瓶があった──。それは純愛か、狂気か。喪失感と行き場のない怒りに覆われた青春を、悲しみに抵抗する「虚言癖」の青年のうちに描き、圧倒的な衝撃と賞賛を集めた野間文芸新人賞受賞作。若き芥川賞・大江健三郎賞受賞作家の初期決定的代表作。

 

 

・初出

新潮、2003年6月号

 

 

・受賞歴、ランキング

第26回野間文芸新人賞

 

奥泉光

 

川村湊

 

佐伯一麦

 

笙野頼子

 

久間十義

 

山田詠美

 

 

第129回芥川龍之介賞候補(文藝春秋、2003年9月号)

 

池澤夏樹×

 「前作と同じエゴセントリックな空回りで、他者の不在のために話に奥行きがでていない。」

 

 石原慎太郎×

「安易な同工異曲で、前作の拳銃が女の遺体から切り取った指に変わっただけでしかない。」

 

黒井千次×

「前作「銃」の暴発力が見られず」

 

河野多恵子

 

高樹のぶ子×

「前回の『銃』ほどには、瓶の中の小指が魅力的でなく、病的な狭い世界に頭をつっこんでしまった。病気というのは社会から認知された状態だから、本当に怖いものにはならないことを知っておくべきだ。」

 

古井由吉◎

「意識を表現することは、無意識の境に踏みこむのに劣らず、厄介なことである。このような難儀な試みを敢えて構えて行なう若い意志を私は壮として、前回の「銃」にひきつづき、今回も銓衡会の評判の芳しくはなかった「遮光」を推した。前回と並行ではあるが、再挑戦と見た。前回より深みはまさっている。ただ何分にも、跳び越すべき、バーは高い。再々挑戦あり。」

 

三浦哲郎×

「前作と同工異曲で構成上の無理が目立ち粗雑であった。」

 

宮本輝
 

村上龍×

「今回の候補作の中でこの作品だけが、ある種の切実さを持っていた。だが切実さはあったが、その他の大切な要素がほとんどなかった。」

 

山田詠美△

「一ページに〈私〉という主語が平均十五個。それが三人称のように使われていて心惹かれる。ただし最後が残念だ。遮光カーテン開けて主人公を、どん底に突き落としてやれば良かったのに。」

 

 

・読了日

2017年6月1日

 

 

・読了媒体

遮光 (新潮文庫)

 

 

・感想メモ

カミュやドストエフスキー、あるいは実存主義文学を現代的に書こうとしたらこうなるのかもしれないなと思った。しかし死に抵抗することは困難なことだ。銃の同工異曲と言えばそれまでになってしまうが、それで解釈を止めてしまうのはもったいないように思えてくる本。(2017.06.01)

 

中村文則を読んできて、この小説が一番好きかもしれない。(2017.08.27)